サンクローバー vol.48|省エネと同時に断熱も 数字でみる健康への影響|小野寺燃料株式会社

特集「省エネと同時に断熱も 数字でみる健康への影響」

今月の特集
省エネと同時に断熱も 数字でみる健康への影響

寒い室内は風邪をひきやすい、温度差があるとヒートショックを起こしやすい、暑い室内は熱中症の危険がある、結露がアレルギーなどの原因となる……などなど、住宅環境が健康に及ぼす影響は少なくありません。断熱性能を高めた省エネ住宅は、そんな危険性を減らすことが期待できます。省エネの効果が断熱を高めるということを知っておきましょう。

資料出典:一般社団法人日本サステナブル協会、公益財団法人長寿科学振興財団

脱衣所・寝室・居間

室温18.5℃以上を実現する省エネ住宅

世界保健機関(WHO)は2018年の「住宅と健康ガイドライン」でいくつかの勧告を発表しました

室温18.5℃以上を実現する省エネ住宅  日本では2014年度から国土交通省と厚生労働省が連携し、スマートウェルネス住宅等推進調査事業に取り組んでいます。この調査は省エネリフォームを実施した居住者を対象としており、さまざまな結果が得られつつあります。今回はそのなかから、室温の変化と健康への影響に注目してみました。
 在宅中の居間の平均気温は温暖地ほど低い傾向にあり、北海道19.8℃、東京都17.1℃、愛知県16.4℃、香川県13.1℃、鹿児島県16.3℃などでした(札幌市では、冬季の暖房設定温度20℃を推奨しています)。

住まいの断熱性を改善すると、最高血圧が平均3.5mmHg低下

起床時収縮期血圧(年齢別)

起床時収縮期血圧(年齢別)

 室温が20℃から10℃に低下した際に、血圧が30歳男性では3.8mmHg 上昇、80歳男性では10.2mmHg上昇。一方、30歳女性では5.3mmHg上昇、80歳女性では11.6mmHg上昇しています。このように高齢者ほど、男性よりも女性の方が低室温による血圧の上昇が大きいことが確認されました。また、血圧が最も低くなる室温は、30歳男性では20℃、80歳男性では25℃、30歳女性では22℃、70歳女性では25℃となっており、高齢者・女性ほど室温を高くすることが血圧抑制には有効であることがわかりました。

室温18℃未満と18℃以上では健康診断結果に差が

室温18℃未満と18℃以上では健康診断結果に差が  朝5時の居間の室温が18℃未満の住宅(寒冷住宅群)に住む人は、18℃以上の住宅に住む人に比べて、総コレステロール値(※)が基準範囲を超える人が2.6倍、心電図に異常所見が見られる人が1.9倍という結果がでました。

※寒冷な室内環境が高血圧の状態を引き起こし、それが血管壁を傷付け、その傷にコレステロールが沈着して動脈硬化が促進されることが知られています。それに伴い寒冷住宅群でコレステロール値が高くなったと想定されます。

足元が15℃に満たないと通院回数が増える?

足元が15℃に満たないと通院回数が増える?  床付近の室温が15℃未満の住宅に住む人は、15℃以上の住宅に住む人に比べて、高血圧で通院する人が約1.5倍、糖尿病で通院している人が約1.6倍という結果が出ています。また、過去1年間に聴こえにくさを経験した人のほか、骨折・ねんざ・脱臼を経験した人の割合が有意に多くなりました。
 健康づくりには足元も含めて居室全体を暖めることが重要です。

“熱め入浴”に注意してヒートショックを防止

“熱め入浴”に注意してヒートショックを防止  家庭や施設の浴槽での溺死者数は、交通事故による死者数を超えており(2018年調査)、特に高齢者は注意が必要です。
 居間や脱衣所の室温が18℃未満の住宅では入浴事故のリスクが高くなります。“熱め入浴”とされる42℃以上で入浴する人の割合が室温18℃以上の人に比べて約1.8倍も多いことがわかりました。部屋間の温度差をなくすだけでなく、脱衣所も含めて家全体を暖めましょう。

コタツにとどまらずに活動量が増える

コタツにとどまらずに活動量が増える  厚生労働省は、「健康づくりのための身体活動基準2013」において、糖尿病・循環器疾患等の予防の観点から、現在の身体活動量を少しでも増やすことを世代共通の方向性として、「今より10分多く体を動かそう」をメインメッセージとして活動を推進しています。断熱改修してコタツや脱衣所の暖房が不要になると、1日平均の住宅内での活動時間が約30分増加しました。

断熱リフォームをするには?

断熱リフォームは補助金や助成金が活用できます。
情報は随時更新されるので、最新情報を確認するようにしてください。

補助対象工事 補助金額
窓の断熱 対象となる工事は、熱貫流率が2.33W/(㎡・K)以下となる窓の交換又は増設をするもの

※居室の窓は全て断熱改修すること(ただし、既存窓で熱貫流率が2.33W/(㎡・K)以下であるものは除くことができる〈性能を満たしていることの証明が必要〉)
※戸建住宅で窓の断熱改修と併せて玄関扉の断熱改修を行い、熱貫流2.33W/(㎡ ・K)以下となるものは、玄関扉も対象とすることができる
※共同住宅の外窓及び玄関扉は対象外
※ガラス交換のみは対象外
※断熱区画外は対象外
→窓・玄関扉の外寸面積0.2㎡ 以上1.6㎡ 未満:7,000円/か所
→窓・玄関扉の外寸面積1.6㎡ 以上2.8㎡ 未満:12,000円/か所
→窓・玄関扉の外寸面積2.8㎡ 以上:18,000円/か所
床、屋根又は天井、外壁全体の断熱改修 対象となる工事は、いずれも対象部位全体を札幌市が定める熱抵抗値に適合させるもの

※戸建て住宅のみ対象
※断熱区画外は対象外
→床:50,000円/戸(熱抵抗値3.3(㎡・K)/W以上となるもの)
→屋根又は天井:30,000円/戸(熱抵抗値5.7(㎡・K)/W以上となるもの)
→外壁:100,000円/戸(熱抵抗値3.3(㎡ ・K)/W 以上となるもの)

参考:令和4年度札幌市 住宅エコリフォーム補助制度(市役所ホームページより抜粋)

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