今月の特集
健康維持の万能サプリ 実践ウォーキングQ&A
長引くコロナの影響で、体を動かす機会が減っています。あるシューズブランドの調査によると、コロナ禍で運動不足だと感じている人は約6割、体重が増加した人は約4割にものぼりました。運動不足の状態が続くと、生活習慣病の罹患リスクや、要介護となるリスクがアップします。運動不足解消のため、手軽にできるウォーキングを効果的に実践するための方法を紹介します。
※ 基礎疾患(持病)のある人、腰や関節に痛みのある人、現在医者にかかっている人、服薬中の人はウォーキングを行う前に医師に相談しましょう。
Q ウォーキングにはどのような効果がありますか?
A 生活習慣病の罹患率を下げ、気分障害も改善します
日常的にウォーキングを行い体力が向上することで、高血圧、糖尿病といった生活習慣病のリスクが下がることがわかっています。「ちょっと血圧が高い」「少し血糖値が上がってきた」という予備軍の状態でウォーキングを行えば、予備軍から脱却し健康を維持するのに役立ちます。さらにウォーキングは、うつ病など気分障害の改善や、睡眠の質の改善、骨粗しょう症の予防・改善など、加齢により起こりやすい心身の不調への効果が認められています。
注目! よく歩く人ほど、認知症になりにくい!
東京都健康長寿医療センターの研究によると、70~80歳の女性では、1週間に90分以上歩く人は、1週間に40分以下しか歩かない人より認知機能がよいという結果が出ています。ウォーキングが脳の血流を増加させ、認知機能を向上させているからと考えられています。ウォーキングは手軽にできて認知症予防にもなるのです。
Q 快適なウォーキングにはどのような靴がいいですか?
A 底の薄い靴やクッション性のない靴を避けましょう
底の薄い靴や底が固くクッション性のない靴で長く歩くと、疲れたり足首や膝などを痛めたりする原因になります。理想はウォーキング専用の靴を履くことですが、そうでない場合は、かかとにクッション性があり、底が固すぎないものを選びましょう。また、ウォーキング時の靴は、つま先に1cm程度のゆとりがあり、靴の中で多少足が動く方がよいとされています。つま先が当たるほどピッタリの靴は避け、長さや幅にゆとりのあるシューズを履きましょう。
Q ウォーキングをするときに気をつけることは何ですか?
A ケガや事故に遭わないよう注意! 水分補給も忘れずに
動きやすい服装で、歩く前にはストレッチや準備体操などをしてからスタートしましょう。歩き始めはゆっくりと、体があたたまってきたら徐々にスピードを上げていくのもケガの予防になります。歩く前後の水分補給も必須です。事故には十分注意し、見通しのよい道や車の通らない緑道、夏は日陰の多い道などを選んで歩くのがおすすめです。万が一の転倒に備え、荷物はウエストポーチやリュック型のランニングバッグなどに入れ、両手を開けておきましょう。
Q より効果を得るための上手な歩き方は?
A 大股&急ぎ足で歩くと、運動効果アップが狙えます
近年の研究では運動負荷をかけて歩くと、短い時間や少ない歩数でも効果が得られることがわかっています。ご自身の体調や健康に問題がなければ、「大股」かつ「急ぎ足」で「ちょっとキツイな」と感じる程度に歩いてみましょう。個人差もありますが、具体的には3分歩くと軽く息が上がってくる程度の歩幅と速度で歩くと、効果アップが狙えます。例えば30分のうち15分は運動負荷をかけてしっかり歩き、残りの時間は普通の速度で歩くなどがおすすめです。
おすすめ! 3分ごとに速歩と普通歩きを繰り返すと、より効果的
ふだん運動をしていない人が前述の「3分歩くと軽く息が上がってくる程度の歩幅と速度」で歩くと、少しウォーキングするだけで結構疲れてしまいます。そこでおすすめしたいのが、約3分ごとに運動負荷をかけた「大股&急ぎ足」の「ちょっとキツイ」歩き方と、ややクールダウンしながら普通のペースで歩くことを繰り返す方法です。トータルで歩く時間のうち半分は運動負荷をかけた歩き方になるようにしましょう。このウォーキング法で30分歩くと、運動効果がさらに高まります。
Q どのくらいの頻度で歩くべきでしょうか?
A 理想は毎日ですが歩き方次第で週2でもOK
理想は厚生労働省の指針の1日1万歩ですが、右ページ下段のように運動負荷をかけて歩く場合は、1週間のうちに負荷をかけて歩く時間を合計60分程度確保し、5カ月程度続けると効果が得られることがわかっています。これは、1日30分(運動負荷15分)なら週4日が目安。週末の2日間だけ歩いて効果を得たい場合は、1日60分(運動負荷30分)歩きましょう。トータルの時間が確保できれば、細切れで1日数回に分けて歩いてもOKです。
Q 1日のうちでいつ歩けばいいでしょうか?
A 目的により違いますが、起床後すぐは避けましょう
血糖値がやや高めと指摘されている場合は、食後30分以内にウォーキングを開始すると血糖値の上昇を防ぐのに効果的です。体脂肪率を下げたい場合は、食前に歩くことでより効果が得られます。朝食後のウォーキングは日中の血圧上昇を防ぎ、筋肉が柔らかくなっている午後3時〜6時に歩くとケガが少なく、夕方に歩くと睡眠の質がよくなることがわかっています。ただ、起床後すぐに歩くのは心筋梗塞などのリスクが高まるのでやめておきましょう。
Q ウォーキングを続けるための秘訣はなんでしょうか?
A 頑張り過ぎないことも大切です
生活の中で歩くタイミングを決め、習慣にしてしまうのが続けるコツです。ただし「毎日頑張って続けよう」と意気込み過ぎると、歩けなかったときの挫折感もひとしお。「歩けるときに歩ける方法で」「疲れたら休む」とゆる〜く構えていた方が、結果として細く長く継続できます。また、強い負荷をかけて歩く、ひたすら長時間歩く、といったこともおすすめできません。ひどい筋肉痛になったり足首や膝に痛みが生じると、途端に歩く意欲が失せてしまいます。
おすすめ! いくつかコースを見繕っておきましょう
体調や気分などにより、しっかり歩ける日もあれば、あまり歩けない日もあります。雨の日は「今日は休息」と割り切るのも大事。ベースとなるコースのほかに、しっかりコース、短縮コースといった別のコースを見繕っておくのもおすすめです。また、同じところを往復して歩くよりは、ぐるっと1周するような形のコースにした方が、気分転換になります。少し離れた場所にある神社を参拝する、人気のお店に寄るなど目的を組み込むと俄然意欲が湧いてきます。
参考文献/『ウォーキングの科学』(講談社) 『最大効果のウォーキング』(CCCメディアハウス) 『やってはいけないウォーキング』(SBクリエイティブ)