サンクローバー vol.47|ろき通信|小野寺燃料株式会社

vol.84 橋口潤平(はしぐち じゅんぺい)の制作現場

▲ 「ステーション」2022年

ろき通信 vol.84 橋口潤平(はしぐち じゅんぺい)の制作現場

 橋口潤平さんの作品はこれまでも何度か拝見していましたが、SNSをきっかけに取材をお願いしました。とても不思議なタイミングだったようで、最近起こった作家としての転機について、うかがえることに。初対面でしたが、わくわくと興奮しながらお話を聞くことができました。

「描けるじゃん!」つかんだ自分の表現力

 20歳から作家活動をされ、先日40歳になった橋口さん。幼いころ近所に美術の先生が住んでおり、3歳から絵やモノづくりを習っていました。また母も絵を描く方で、身近に絵を描く環境があったそうです。

大学では、シルクスクリーンを学んでいました。しかし卒業後に設備を含む制作環境を整えるのは難しく、独学で絵を描くことを始めました。

アクリル、水彩、油彩と技法が変化しつつも、描くことからは離れませんでしたが、画業一本でやっていこうという考えには至らなかったそうです。しかしある日、活動に本腰を入れたいと思うきっかけが。公園で息子と遊ぶ写真から絵を描いていたときに、「あれ? なんかいける!」と、何かをつかんだ気がしたのです。

 これまでは“これ”という技術や技法に出会えず絵を続けてきましたが、やっと描きたかったものが描けるようになった。やりたいと思う表現ができるようになった。これだったら続けていきたいと思った︙︙この話を聞いて、積み重ねてきた鍛錬が、彼の思考や気持ちを軽くさせたのかもしれないと思いました。

 「これまで迷いながら描き続けてきたので、こういう気持ちになるとは思っていなかった。“描けるじゃん!”に出会ってしまったので、もう辞められない」と話す表情は、本当にうれしそうな気持ちに満ちあふれていました。その彼の表情に、私も背中を押してもらったかのようです。

 生活のリズムを大切にしながら絵と向き合ってきて、子育ても落ち着いてきたこのタイミングで、改めて絵の基本を学ぶことの喜びも感じているそうです。自分の描きたいイメージが、身体を使った技術を通して画面に思うように伝わる感覚は、絵を描き続けてきた人にしかわかりません。しかし、その喜びを想像すると、これからの作品を観ることが楽しみでなりません。

 12月初旬には、「ギャラリー犬養」で個展予定。ぜひ、皆さんにもご覧いただきたいです。 

橋口潤平(はしぐち じゅんぺい)/ 美術家

橋口潤平(はしぐち じゅんぺい) 1982年、釧路市出身。恵庭市在住。道都大学美術学部卒業。アクリル画の制作を中心に活動。札幌市で個展や企画展への参加を続け、現在は油彩画での制作活動を行う。

グループ展「Nockin'on Toilet door」(2009年)
個展(2010年)
ギャラリー犬養オープニング個展(2011年)
二人展「調律のアウトライン」(2012年)
本田征爾企画展「hotel moonshine」(2014年)
本田征爾企画展「hole a man」(2016年)
個展「ないもの図鑑」(2017年)
堀成美、犬養康太との三人展(2021年)

写真:作家提供 文・菅原由香
※「ろき通信」は小野寺燃料が情報誌で10年以上継続しているアートレポートです。
北海道出身や札幌拠点で活動する現代アートの作家たちをご紹介しています。

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