小野寺燃料

札幌の住まいと暮らしの情報誌「Sun Clover」vol.34
~ろき通信 vol.72~

山﨑 愛彦 (やまざきよしひこ)の制作現場

 山﨑愛彦さんは、前号の山内さんと同じく、苗穂駅近くの「naebono(なえぼの)アートスタジオ」にアトリエを持つ作家です。瑞々しい色使いが印象的な作品の構築方法や考え方などを丁寧に伝えてくれる姿に、「好青年とはこういう方をいうのだ」としみじみ思いました。大学院に在学中の彼と初めて会ったのは数年前ですが、今回は作家としての覚悟や作家の現状・環境について聞くことができ、大変勉強になりました。

冷静な目線でものごとを捉え、形にする

 山﨑さんに、どのタイミングで作家の道を歩もうとしたのかを聞いてみると、「中学生のときには美術に関わろうと決めていた」と答えます。でも、高校で美術を学びながら「判断材料が足りていない」と思い、大学に進学してからどうするかを決めることにしました。そして、特別大きなきっかけがあったというわけではないのですが、学びながら学校以外の美術を取り巻く環境にも足を運び、自分なりにリサーチを続け、やっと判断材料がそろったと思い、作家として大学院に進もうと決めたのだそうです。
 そうした良い流れで作家になることを決心できたことについて、彼のもともとの資質もありますが、現状をさまざまな視点で冷静に捉えようとする努力が素晴らしいと思いました。アトリエを持ったり、ほかの世代との関わりを持ったりと、調べるだけではなく、きちんと体感しようとする姿勢についても、感心の連続でした。
 日々の業務や作業に追われながらも、「世界にある本物の作品をたくさん観に行きたい」「作品の実物を自分の目で確かめて、知識と経験の擦り合わせをした上で、自分の作品を制作したい」など、「やりたいことがいっぱいなんですよ」と笑って話す山﨑さん。研究者気質なところも持ち合わせており、世代を超えた〝見えないバトン〟をつなげてくれそうな存在です。というのも、彼は先輩作家の話も素直によく聞いて、自分の中で噛み砕き、制作に落とし込む。また自分が偏ってはいないかと客観的に見ることができる。そして芸の伝承にも近いような感覚的なことも「説明できるように」と、バランスよく情報整理できる……こういったことを、地でやってのけてしまうからです。
 自分の作品について言語化することを求められる昨今、彼が持つ資質や冷静な目線は重要だと思います。その上、好奇心も旺盛となると、期待せずにはいられません。現代美術と社会との関わり方を、彼なりに突き進めてほしいと思います。今年の12月には個展も控えているそうなので、ますます楽しみです。

「Title for painting」160×720cm
※「ろき通信」は小野寺燃料が情報誌で10年以上継続しているアートレポートです。
北海道出身や札幌拠点で活動する現代アートの作家たちをご紹介しています。

山﨑 愛彦/ペインター

1994年北海道札幌市生まれ、在住。
2016年札幌大谷大学芸術学部美術学科卒業、現在北海道教育大学大学院教育学研究科、Think School2018年度制作コース卒業。
2019年「Nameless land-scape」札幌市民交流プラザ、2018年Think School2018年度前期展「THINK SUPER-MARKET」なえぼのアートスタジオ、「開館50周年記念リニューアル記念mima,明日へのアーティス卜たちとともに−夢魔とポエジイ−」北海道立三岸好太郎美術館、2016年北海道作家作品展「2020−来たるべき者達」クロスホテル札幌。

>> ろき通信 過去の記事一覧へ

>> Sun Clover トップページへ

▲ページトップへ