小野寺燃料

札幌の住まいと暮らしの情報誌「Sun Clover」vol.31
~ろき通信 vol.69~

松本ナオヤ (まつもとなおや) の制作現場

 本コーナーで紹介する作家は、道内の美術系の学校が限られるためか、出身校が重なることがよくあります。今回ご紹介する松本ナオヤさんは、油彩と映像の表現を得意とする作家。ここでよく登場する星槎道都大学の版画ゼミ出身です。卒業後に独学で油絵を学び、映像制作会社に勤めながら制作をしています。

油彩と映像作品が行き来する空間

 大変おもしろい経歴の松本さんですが、大学に入ったときは映像を学ぶつもりだったそうです。しかし、居心地のよいゼミを選んだのをきっかけに、版画の勉強を始めます。このゼミについてもいろいろと語りたいのですが、卒業後も制作し続ける作家を多く育てている名門とだけお伝えしておきます。

 さて、彼の作品を初めて観たとき、数枚の絵画作品と、窓にはめ込んだ映像作品を中心に構成されており、展示会場は何とも言えないよいバランスでした。全体の作品配置やアプローチに、繊細な計算を感じました。

 ほぼ初対面の松本さんへの取材では、思い込んでいたことを気持ちよく裏切ってくれました。たとえば彼の作品には、ストーリーがしっかりとあり、具体的な物事のシーンが絵の中に存在していると思っていました。しかし実は、ストーリーについて深く考えていないし、具体的な設定はないと言います。映像作品では観る時間の拘束があるため、短い時間でループするようにしているそうです。全体のバランスや仕掛けの妙で、ある現象を取り巻く雰囲気を再現しているようにも見えます。おもしろい構図というか、おもしろく見えるように心掛けて制作しているのです。そこにとても魅力を感じましたが、やはり言葉では伝えきれないものです。

 サスペンスをテーマに7年ほど制作していると聞き、今後も取りこぼさないよう、注意深く目を見張っていきたいです。

 松本さんの作成現場は自宅。できるなら広いアトリエを持ちたいと考えています。作品のサイズも自由になるからです。

 「シチュエーションを考えるのが好き」と聞いて、なるほどと思いました。旅行したときは「美術館やギャラリーより、その町を見に行く」という言葉ともつながるような気がします。

 新しいことを始めるのも好きだと話す彼は、油彩の平面と、映像作品が行き来する空間の表現以外にも、思わぬ組み合わせをするのでは、と期待しています。どこか記憶の隅に気配が残っていそうな不思議な魅力を、またすぐにでも味わいたいです。次の展示情報にも期待が高まるわけです。

「TWO WEEKS」(油彩 2017年)
※「ろき通信」は小野寺燃料が情報誌で10年以上継続しているアートレポートです。
北海道出身や札幌拠点で活動する現代アートの作家たちをご紹介しています。

松本ナオヤ / ペインター・映像クリエイター

1986年青森県出身。
2015年11月(札幌)個展『SHINING VIOLENCE』FAbULOUS WALL/
2017年3月(札幌)個展『ONE MORE CASE』さいとうギャラリー/
2017年4月(札幌)個展『SHINING SUSPENSE』ギャラリー犬養/
2017年8月(東京)『Independent東京2017』審査員特別賞受賞/
2018年2月(ニセコ)The GREEN LEAF Niseko Exhibition/2018年
3月(札幌)個展『臨海都/Hi-Fi Dream』to ov café等。  
インスタグラム : https://www.instagram.com/n_mtmt/

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