小野寺燃料

札幌の住まいと暮らしの情報誌「Sun Clover」vol.17
~ろき通信 vol.55~

佐々木恒平(ささきこうへい)の制作現場

 サウンドデザイナーでもある作曲家の佐々木さんは、生活の中のさまざまなシーンを大切にします。家族でいえば、まるでお母さんのように家庭的で、あらゆるものに愛情をかけるようなところがあります。「女子力が高い」と言われるほど。そんな彼の作る音楽は、誰かに寄り添うように、1曲ごとにはっきりした対象が存在するかのようです。

音楽作りで一番大切なのは、イメージすること

 造形作家や版画家、木工家などの展示に楽曲を提供することも増えている佐々木さん。どのように世界感を作り出し、イメージを音に起こすのでしょうか。筆者は佐々木さんと交流があるので、互いにくすぐったさを覚えながら会話をしていたのですが、音楽の話になるとスイッチが切り替わり、とても真面目な姿勢で質問に答えてくれました。
 クライアントから依頼される仕事では、音楽を耳にする人のことを深く想像するところから始めます。これは、ほとんどの音作りに必要な作業です。クライアントの世界観に合わせて、音によるアプローチで展示に立体感や奥行きを持たせるのです。
 だから、7割は世界観を音に書き起こすためにイメージする作業、3割は演奏・編集・マスタリング等の実際の作業に時間を費やします。彼の繊細な音を聴くと、なるほどと思うことばかりでした。
 一昨年の8月にリリースした「Some Other Time」は今までの繊細な音作りに、力強さが加わったように感じます。音楽の知識がほとんどない筆者には、その正体が何なのかをはっきりと口にできませんが、そんな素人にも違いが伝わってくるので、音楽に精通した方が聴くとどう感じるのか、興味深いところです。
 彼は10代のころ、バンドでギターを担当していました。その後バンドは解散しますが、1人でも音楽を続けていきたいと、一から作曲を勉強。親の仕事の関係で、舞台に関わる音楽を始めたことがきっかけで、今日に至ります。
 本当に音楽が好きで、どんなに忙しくても、日々の制作時間を大切にしています。日常的に素材を溜めておくことはありますが、やはり音楽を作るうえで一番大切にしているのは、イメージすること。一から作り上げるからこそ、そこに時間を必要としますし、自分を納得させ良いものを作るには、決して省くことはできないのです。


「Some Other Time」
2013年8月にiTunes ストアで、10月にCDでリリース

 そろそろ、ある作家の展示に楽曲を提供する季節。展示に彼の作る音が加わると引力が増し、居心地の良い空間が展開されます。毎年、心待ちにしている方も多いのです。
 カフェマネージャーでもある彼の活躍の場はどんどん広がっていますが、今後挑戦したいことは「室内音楽と、空港をコンセプトにした作曲」とのこと。もしかすると、はっきりと「こうしたい」というビジョンがあることが、彼の音楽の中にある繊細さと力強さの正体なのかもしれません。

佐々木 恒平(not/c)/サウンドデザイナー・作曲家

1984年生まれ。幼少よりクラシックギターを宮下祥子に師事。2006年よりサウンドデザイナーとして活動を始める。 テレビCM、ラジオ、映画、VP、様々なショーへの楽曲やサウンドロゴ等の提供を生業にしている。近年ではサウ ンドディレクション、プロデュース等も含まれる。自身の美容師としての経験やギャラリーやカフェでの展覧会企画等の経験から、ヘアサロン、カフェ、ギャラリーなどのBGMセレクトも手掛ける。
ホームページ●http://koheisasaki.net/

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