小野寺燃料

札幌の住まいと暮らしの情報誌「Sun Clover」vol.15a
~ろき通信 vol.53~

岸本幸雄(きしもとゆきお)の制作現場

 実用的な家具や玩具、抽象的なオブジェ等の制作をする木工家の岸本さんは、最近4回目の個展を終えたばかりです。岸本さんの作品からは温かさとやさしい愛情を感じます。そこには、3人のお子さんのお父さんということも関係しているかもしれません。取材中は冗談も多い岸本さんですが、会話の中から時折、創作への純粋でまっすぐな姿勢が伺えます。そのギャップも岸本さんの魅力です。

好きなこと、やりたいことを諦めない

  4人兄弟の三男で、双子の兄弟もいる賑やかな環境で育ってきた岸本さん。作品から感じる温かさは、両親や兄弟から受け継いでいるようです。お父さんの描く絵葉書がまわりで評判だったこと、小さい頃から美術館へ連れて行ってもらうことが多く、むしろ今よりもいろいろ観ていたことなど、ご家族との温かいエピソードを聞かせてもらえました。
 それらの影響を受けて、高校では美術部に所属。さらに大学ではデザインを学び、環境造形会社へ就職。そんな順風満帆のようにも思える人生でしたが、自分の手でもの作りに携わる道を選び、35歳の時に木工を学び始めたとのことです。
 作るという上では大きくかけ離れていないとはいえ、木工に関する知識はほとんどなかったそうです。決して平坦な道ではなく、相当な覚悟での決断でしたが、家族の理解と、好きなこと、やりたいことを諦めない姿勢で作品を作ってきたと語ります。
 「自分は作家として活動を始めたのが遅かった」と話す岸本さんですが、ここまでの道のりを伺うと、岸本さんの行動力には驚くばかり。「同じ動きで満足しないよう、新しい動きを大切にしたい」とも話していました。
 「個展を2回、3回と経験していくうちに、展示する空間に合わせた作品を作りたいと思うようになっていきます。そして、先日の4回目の個展では、そのやりたかったことのひとつが出来て、満足感があった」ということです。でも、作品を観た恩師から今後の展開について聞かれ、「また新しい課題ができました」とも。
 「展示をするたびに現場で聞ける感想やコミュニケーションから新しい発見がある。試していきたいことと楽しみばかりで、もう少し表に出て行く機会を増やしたい」。笑顔でそう語っていただきました。次回の個展も楽しみです。

Zoo Factory 岸本幸雄/ 木工家

1966年札幌生まれ。東海大学部芸術デザイン学科を卒業後、札幌市北広島にある金属加工会社で環境造形のデザインを担当。2002年から2年間、北海道東海大学芸術工学部で研修を積む。04年朝日新聞社主催第4回暮らしの中の木の椅子展にて優秀賞。2005年には「Zoo factory」を開設し、家具、クラフトデザイン製作を行う。2006年朝日新聞社主催第5回暮らしの中の木の椅子展入選。2006年から2011年まで札幌芸術の森で木工専任職を務め、個展やグループ展にも参加し、2014年11月にGALLERY kamokamoでの個展を予定。
ホームページ http://www14.plala.or.jp/Zoo-factory/

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