サンクローバー vol.47│医療ジャーナリスト・松井宏夫のなぜなに病院ふむふむ医療│小野寺燃料株式会社

医療ジャーナリスト・松井宏夫のなぜなに病院ふむふむ医療
【第36回】先進医療って、どんな医療?

「先進医療」という言葉をよく耳にしますが、具体的にどういう医療のことをいうのでしょうか?

 先進医療とは、大学病院などで研究・開発が進められている最先端の医療技術のうち、安全性や有効性などを厚生労働省が認めたものです。

 日本の健康保険制度では、保険診療と自由診療を同時に行う「混合診療」が原則禁止されていますが、厚生労働省が認めたこの先進医療は、例外です。

 費用は、先進医療の医療費部分だけが患者の自己負担となりますが、その金額は医療の種類や病院によって異なります。それ以外の通常の診察や検査、治療などと共通する部分は保険対象となるため、高度な医療が必要な難病患者が治療を受けやすくなっています。実際の医療現場では、患者が一般的な保険診療を受けるなかで先進医療を希望し、医師が必要性と合理性を認めた場合、その技術や治療内容について十分な説明が行われたうえで提供されています。

 先進医療は、2022年8月1日現在で82種類あり、第2項先進医療(先進医療A)の24種類、第3項先進医療(先進医療B)の60種類に分かれています。

 先進医療Aとは、先進医療技術とともに用いる医薬品や医療機器等について、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の承認・認証・適用があるものや、人体への影響が極めて小さいものを指します。たとえばがんの治療や診断、子宮腺筋症の核出術、家族性アルツハイマー病の遺伝子診断などです。

 一方、先進医療Bとは、薬機法の承認等が得られていない医薬品や医療機器を用いた医療技術、もしくは薬機法の承認等を得た医薬品・医療機器を用いていても、その実施にあたって重点的な環境や評価が必要とされるものを示しています。上皮性卵巣がんや早期乳がん、肺がんといった各種がんや心不全の治療などがあります。

 では実際に、先進医療を受けている人はどれくらいいるのでしょうか。2019年度実績では約4万人が先進医療を受けていましたが、翌年度には約5500人と激減しました。これは、先進医療の利用実績のほとんどを占めていた「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」(白内障の手術)が先進医療から外れたためです。

 最新の先進医療の技術名や適応症、技術の概要、実施医療機関などについては、厚生労働省のホームページで紹介されています。

松井宏夫(まつい・ひろお)

1974年、中央大学卒業。日本ドキュメント・フィルム助監督、週刊サンケイ記者を経てフリージャーナリストに。1991年『名医名鑑』を日本工業新聞社から出版。その後、5冊の名医本が続けて大ベストセラーに。名医本のパイオニアであるとともに、最先端医療など医療全般をわかりやすく解説。テレビの健康番組『たけしの家庭の医学』の監修( 〜2020年3月)、ラジオ、新聞、週刊誌、講演などで幅広く活躍している。日本医学ジャーナリスト協会副会長、日本肥満症予防協会理事。TBS ラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』内の「日本全国8時です」(毎月曜8:00 ~)に出演、病気や健康について親しみやすく解説(2014年10月〜2020年3月)。

病院・医療については、松井宏夫監修の書籍『最新 病院のすべて 気になる医療業界をまるごと図解』(学研)でもっと詳しく!

 なぜなに病院ふむふむ医療 過去の記事一覧へ
 最新号トップページへ