サンクローバー vol.46│医療ジャーナリスト・松井宏夫のなぜなに病院ふむふむ医療│小野寺燃料株式会社

医療ジャーナリスト・松井宏夫のなぜなに病院ふむふむ医療
【第35回】病院のアウトソーシング事情

病院には、医療従事者と患者以外にもさまざまな人が出入りしているようですが……。

 病院の運営は非営利ですが、それをサポートするさまざまな取引業者があります。外部への支払額でもっとも大きいのは、医薬品や医療機器、医療消耗品などの医療材料です。

 しかし、利害関係が治療に影響しないよう、病院と製薬会社が直接取引することは禁じられているため、間に専門の卸会社が入ることになっています。製薬会社は卸会社に自社製品を販売し、卸会社が病院に販売するという図式です。

 医療材料の売買には卸会社が介在しますが、製薬会社の医薬情報担当者(MR)は医師や薬剤師と直接やり取りをすることができます。MRは、自社製品の品質、有効性、安全性はもちろん、副効用(本来の効能以外のよい効能)や認可前の医薬品などの情報を提供しています。

 ほかにも、病院にはさまざまな業者が出入りし、業務を行っています。たとえば電子カルテ作成システムやサーバーなどIT関連の管理、院内清掃や寝具類の洗濯、医療廃棄物の処理、院内給食や献立の作成、医療専門職の人材派遣、医療機器の点検・修理などなど。こういった業務は専門知識や技術が必要となりますから、病院専門の委託会社が行っていることがほとんどです。

 また病院によって、院内にコンビニエンスストアやレストラン、カフェ、生花店、理容院などが入っているのを見かけたことはありませんか? これらは委託や賃貸契約により、病院設備の一部の管理を外部に任せている状態です。霊安室の運営を葬儀業者に委託する病院も出てきています。最近では、カジュアル衣料品店のユニクロが病院内に出店したというニュースが話題になりました。

 このように、病院は規模の大小を問わず、さまざまな業務のアウトソーシング(外部委託)を進めています。医療業務から事務まで、アウトソーシングの幅は徐々に拡大してきており、多くの病院が採用しています。

 アウトソーシングすることで、病院は患者へのサービスを向上したり、業務の効率を上げたり、経費を削減することができます。

 一方、その内容によっては、管理が行き届かなくなったり、スキルやノウハウが病院内に蓄積されないといったデメリットも指摘されています。

松井宏夫(まつい・ひろお)

1974年、中央大学卒業。日本ドキュメント・フィルム助監督、週刊サンケイ記者を経てフリージャーナリストに。1991年『名医名鑑』を日本工業新聞社から出版。その後、5冊の名医本が続けて大ベストセラーに。名医本のパイオニアであるとともに、最先端医療など医療全般をわかりやすく解説。テレビの健康番組『たけしの家庭の医学』の監修( 〜2020年3月)、ラジオ、新聞、週刊誌、講演などで幅広く活躍している。日本医学ジャーナリスト協会副会長、日本肥満症予防協会理事。TBS ラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』内の「日本全国8時です」(毎月曜8:00 ~)に出演、病気や健康について親しみやすく解説(2014年10月〜2020年3月)。

病院・医療については、松井宏夫監修の書籍『最新 病院のすべて 気になる医療業界をまるごと図解』(学研)でもっと詳しく!

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