小野寺燃料

札幌の住まいと暮らしの情報誌「Sun Clover」vol.31
医療ジャーナリスト・松井宏夫の なぜなに病院ふむふむ医療【第20回】

医師不足の現状

いま、日本の医師不足が深刻化していると聞きました。実態はどうなのでしょうか?


 日本ではいま、医師不足が大きな問題になっています。産科、小児科、外科など、夜間救急や緊急手術のニーズが高い診療科の医師が不足しているのです。

 その理由の1つに、2004年にスタートした臨床研修医制度があります。かつての研修医制度では、大学を卒業した研修医は特定の診療科の医局にいました。しかし臨床研修医制度では、2年間は臨床で複数の診療科の研修を受けます。

 その間に各診療科の臨床の実態を見て、負担の少ない勤務先を選ぶ医師が増えているのです。たとえば夜間勤務がなかったり、患者の死亡リスクが少ないといった、皮膚科や眼科などですね。

 過去に産科の患者が手術で亡くなったり、医師が逮捕される事件もありました。医療行為に対する裁判も多くなってきています。そういったリスクを避けようと、医師が必要な医療を行わないことを「委縮医療」といいます。

 これらの問題が、現在の若い医師不足につながっているのです。

 また、研修医が研修先とその後の勤務先を選べるようになった結果、教育内容や待遇のよい都市部の病院に集まり、地域の偏りが生まれていることも深刻な問題です。

 医師不足は、こうした診療科の医師数の偏在、地域の偏在から生み出されているところが大きいのです。

 看護師も不足しています。2006年の診療報酬改定で、7人の患者に対して1人の看護師を配置すると、診療報酬が加算されるようになったため、医療機関が一斉に動き出しました。

 ところが当然に、看護師も報酬や環境のよい施設に集まりますから、結果として看護師不足に悩む病院が増えているのです。

 また看護師は、有資格者は多いものの、女性の場合、結婚や出産を機に仕事を離れるため、就業率が低いことも原因となっています。



松井 宏夫 (まつい・ひろお) 1974年、中央大学卒業。日本ドキュメント・フィルム助監督、週刊サンケイ記者を経てフリージャーナリストに。1991年『名医名鑑』を日本工業新聞社から出版。名医本のパイオニアであるとともに、最先端医療など医療全般をわかりやすく解説。テレビの健康番組『みんなの家庭の医学』の監修、ラジオ、新聞、週刊誌、講演などで幅広く活躍している。日本医学ジャーナリスト協会副会長、東邦大学医学部客員教授。2014年10月よりTBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』内の「日本全国8時です」(毎月曜8:00~)に出演、病気や健康について親しみやすく解説している。

病院・医療については、松井宏夫監修の書籍『最新 病院のすべて 気になる医療業界をまるごと図解』(学研)でもっと詳しく!

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