サンクローバー vol.20│医療ジャーナリスト・松井宏夫のなぜなに病院ふむふむ医療│小野寺燃料株式会社

医療ジャーナリスト・松井宏夫のなぜなに病院ふむふむ医療
【第9回】医療のIT化ってどういうこと?

受診時、お医者さんが紙のカルテではなく、タブレット端末を操作しています。患者の情報をどう管理しているのでしょうか?

 電子カルテをはじめ、現在の医療現場ではIT化が進んでいます。新しいIT化の取り組みとして、もっとも注目されているのが「医療クラウド」です。
 「クラウド・コンピューティング」という言葉は、他でも聞いたことがあるかもしれません。これまで手元のパソコンだけで管理していたデータ(情報)をインターネット上のサーバに保存し、必要に応じて別の端末からも利用できるようにすることです。クラウドとは「雲」を意味しますが、インターネットの先にある自分が利用しているコンピュータの形態が実際にどうなっているのか見えづらいことを、雲のかたまりのような図で表現したことから、この名称がついたと言われています。これを医療用システムとして構築したのが医療クラウドなのです。
 医療クラウドは、時間と場所を問わず瞬時にデータにアクセスすることができます。たとえば、手術で臓器の組織を摘出した執刀医が、その病理検査の結果をタブレット端末で瞬時に確認し、手術内容を決定・変更することができます。また、地域の病院に緊急搬送された患者のCT画像を、離れたところにある大学病院の専門医が確認し、処置の指示を出すケースもあります。病院内では診察室、検査室、手術室、院内薬局、受付などが連携し、情報を共有します。
 また、緊急搬送の現場でも役立てられています。各医療機関の受け入れ可能人数がリアルタイムに更新されるため、救急隊員がモバイル端末から受け入れ可能なところを探し、迅速に搬送することができるのです。訪問診療でチーム医療を行う医師や看護師、作業療法士などがモバイル端末からデータを入手し、情報を共有することも可能です。グループ病院との連携も強化されます。
 一見いいことづくめの医療クラウドですが、通信環境の安定化やシステムダウンへの対応、セキュリティ管理をどう徹底するかなどの課題もあります。医療クラウドで管理される患者の個人情報データは氏名、年齢、住所、保険証番号、傷病名、検査・治療内容、服薬の内容などがありますが、これらはパスワードで管理したり、いつ・誰が・どんな情報にアクセスしたのかがわかるようログを残すなどの、情報漏えい対策がとられています。

おしらせ

TBSラジオ「日本全国8時です」の生放送日が、10月5日の放送より毎週火曜日から月曜日に変更になりました。
皆様、ぜひお聴きください!

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松井宏夫(まつい・ひろお)

1974年、中央大学卒業。日本ドキュメント・フィルム助監督、週刊サンケイ記者を経てフリージャーナリストに。1991年『名医名鑑』を日本工業新聞社から出版。名医本のパイオニアであるとともに、最先端医療など医療全般をわかりやすく解説。テレビの健康番組『たけしの家庭の医学』の監修、ラジオ、新聞、週刊誌、講演などで幅広く活躍している。日本医学ジャーナリスト協会副会長、東邦大学医学部客員教授。2014年10月よりTBS ラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』内の「日本全国8時です」(毎月曜8:00~)に出演、病気や健康について親しみやすく解説している。

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