サンクローバー vol.20|暮らしにまつわるエトセトラ|小野寺燃料株式会社

「くどこ」と「ごとく」

暮らしにまつわるエトセトラ 「くどこ」と「ごとく」

 ガスコンロの点火部分にあり、鍋ややかん、フライパンを支えるアレをなんと呼んでいますか? そう、「ごとく」です。お料理中の調理器具を支えてくれるごとくの原型は、弥生時代には土器として使用されており、鉄製が誕生したのは、鎌倉時代です。囲炉裏で煮炊きするときは、吊るして使う自在鉤か、輪の下に足の生えた形のごとく(金輪・鉄輪)を置いて使用していました。太平洋戦争時には、鉄不足のため、陶器製のごとくも登場しました。

 さて、この器具が「ごとく」と呼ばれるようになったのは桃山時代、茶聖と呼ばれる茶人・千利休が活躍していたころです。

 古くはかまどのことを「窶(くど)」、京では「おくどさん」と呼んでおり、ごとくにあたるものは「くどこ」と呼ばれていました。

 千利休により茶道がはじまると、茶釜を火にかけるための「風炉」が開発されます。そこに「くどこ」を使うわけですが、安定感のために今まで下にしていた足の部分を上にして、逆さまに使用したのです。このことから、呼び名も「くどこ」を逆さまにした「ごとく」となったという説が有力のようです。

 また、ごとくは漢字で「五徳」です。儒教には五徳(仁・義・礼・智・信)がありますが、位の高い僧侶の頭の被り物に似ていたからそう呼ばれるようになったという説もあります。

 鋳上がった釜を再び火中に入れて釜肌をしめる「焼抜き」という仕上げ方法を考案し、豊臣秀吉から「天下一」と呼ばれた釜師・ 与次郎は、千利休と一緒にさまざまなデザインのごとくをつくりました。

 それから約400年。現在のごとくはホーロー製、近頃はステンレス製も増え、形もスタイリッシュなうえ、お掃除もラクに。いまだ進化し続けている「ごとく」なのでした。

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