サンクローバー vol.46|Mr.Vee JayのJAZZナビ|小野寺燃料株式会社

光と闇とJAZZ

『pop songs』Moncef Genoud Trio 発売元:Muzak

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光と闇とJAZZ

 闇は本来、門を閉じて光が入らない状態、視覚が効かない状態を指しているという。つまり音に頼らなければならない状態を指す。光が無くても音があると考えれば、「闇」という漢字も少しは希望を与えてくれる。

 ロシアがウクライナに軍事侵攻して間もなく3ヶ月(5月現在)が経とうとしている。ウクライナの人達は戦禍を避け、地下に避難して大変な生活を強いられている。また、多くの国民が犠牲になっていても絶対降伏しない理由の一つに、旧ソ連時代に農作物を強制的に徴収され食べる物も無くなり、400万人以上が飢えや疫病で亡くなった歴史がある。

 ウクライナは“ヨーロッパのパン籠” と呼ばれるほど小麦が獲れる豊かな国で、輸出量も世界5位だ。ウクライナの国旗も青と黄色で、空と小麦を表しているという。

 「ダーウィン」は『種の起源』で、「進化」とは進化した後の生物がそれより前の生物より優れている意味ではなく、単にその環境に適した形に変化しただけで、進歩でも発達でもないと述べているそうだ。そういう意味では、人類は本当に進歩したのだろうか、とつくづく考えてしまう。

 今回は盲目のピアニスト、モンセフ・ジュヌのアルバムを取り上げたい。モンセフ・ジュヌはチュニジアの地中海に面したチュニス出身で、生まれたときから盲目だった。6歳からピアノを始めたが、クラシックだけではなくてジャズやブルースに惹かれて育った。スイスのジュネーブを拠点に活動している。

 2009年、セネガル出身のミュージシャン、ユッスー・ンドゥ-ルのアフリカ音楽と黒人音楽のルーツを追った音楽ドキュメント映画『ユッスー・ンドゥ-ル 魂の帰郷』でピアニストとして共演して、世界から注目を集める。

 この『pop songs』の大半は、オリジナルの1曲以外ロックのナンバーを取り上げている。

 硬質なピアノの音色で紡ぎ出されるジミ・ヘンドリックスの「リトル・ウイング」。「故郷の人々」は日本の唱歌にもなっていた曲で懐かしさもあり、普遍的なモンセフの音楽世界に引き込まれていく。「ハートに火をつけて」はドアーズの曲だが、ウィントン・ケリーの陽気な曲調とは違い、重厚でリリカルな響きだ。

 ウクライナでの戦禍は勝ち負けに関わらず、甚大で悲惨な結果が待っている。人間は想像できる能力があることを信じて、目を閉じて「イマジン」に耳を傾けてください。

Mr. Vee Jay より

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