小野寺燃料

札幌の住まいと暮らしの情報誌「Sun Clover」vol.33
Mr.Vee JayのJAZZナビ

ライブハウスの楽しみ Ⅱ

『Aranjuez Suite』

  札幌のジャズライブハウスやジャズクラブには、なかなか満足させてくれる場所がなかったような気がする。「これは聴いてみたい」と思わせる人がいなかったり、キャパが狭かったりと、足を向かわせる所が少なかった。その中で昨年12月に行った“D-BOP”ジャズクラブは演奏者といい、店の広さや雰囲気といい、満足させるライブハウスだった。

 “D-BOP”はオープンして5年ほど経つ。オーナーは本業で探偵会社を経営している。自らもサックスプレイヤーで、サッポロ・シティ・ジャズコンテストで4度のファイナリストの経歴をもつ実力者であるらしい。

 そのときの出演者は、笹島明夫(g)+トリオ。ドラムは、ハービー・ハンコックのバンドに9年間在籍していたジーン・ジャクソン。すばらしいリズムを刻み、ギタリストの笹島明夫を好サポートしていた。 函館出身で’75年に渡米して、現在は主にカリフォルニアで活動している笹島は、オリジナルやスタンダードをただ弾くだけでなく、どうしたら聴き手にアピールできるかをわかっているプレイヤーだ。

 今回紹介したいのは、“D-BOP”ジャズクラブが新レーベルを発足させた第1弾目のアルバム「AKIO SASAJIMA-RANDY BRECKER QUINTET」の『アランフェス・スイート』だ。レコーディングは札幌市南区の芸森スタジオで行われ、ニューヨークでマスターリングされて、サウンドもジャズファンはもちろん、オーディオファンも納得できるものになっている。CDのデザインも、レコードを思わせる溝をカッティングしたものになっていて、青を基調として、少しBLUE NOTEを意識しているように思われる。

 トランペットのランディ・ブレッカーは、弟のマイケル・ブレッカーと組んでいたブレッカーブラザーズとして有名な人で、グラミー賞も受賞している実力者だ。ほかのメンバーも大学で教鞭を執っていたり、ウィントン・マルサリスと共演している奏者でサポートしている。「アランフェス組曲」はクラシックギターの曲として特に有名だが、フラメンコ調にアレンジされていて、笹島のギターとランディのミュートトランペットの哀愁と後半の情熱的なドラムソロがすばらしい。スペインの赤ワインでも飲みながら、じっくり聴いてもらいたい。

P.S. ライブを観終わった後、笹島さんと握手したが、大きなガッシリした手が印象的だった。

Mr. Vee Jay より


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