小野寺燃料

札幌の住まいと暮らしの情報誌「Sun Clover」vol.32
Mr.Vee JayのJAZZナビ

珈琲とJAZZ

『金本麻里 with The Bop Band』

 本格的な珈琲を飲み始めたのは、学生時代ジャズ喫茶に通いだしてからだと思う。そのうち、豆にも凝りだして、モカやキリマンジャロ、マンデリンだの、3種類くらい買い、安アパートで自己流にブレンドしてジャズを聴きながらひとり悦に入っていた。今買う豆はブラジルに落ちつき、休日にミルで挽いて珈琲を楽しんでいる。

 最近はアイスコーヒーにはまり、チャレンジしているが3回に1回くらいしか美味しく作れていない。作ってわかったが、アイスコーヒーの豆は個性が強い物を使い、量は2倍必要で、氷も多く使う。本当に美味しく淹れるには手間暇がかかり、金額が高くなるのもうなずける。

 昨年10月、25回目になる横浜のジャズフェスティバル「横濱JAZZ PROMENADE」に行って来た。横浜の街全体がステージになっており、ホールライブ、アマチュアミュージシャン中心の街角ライブ、ジャズクラブライブと、約3,000人のプロ・アマが出演する。日本中からほとんどのジャズミュージシャンが集まり、どれも観たいライブばかりだった。中でもブラジリアン・ビッグバンド「バンダ・マンダカリーニョ」は多国籍のスーパープレイヤー揃いで、美しいアンサンブルとダイナミックな演奏で会場を沸かせていた。夜はジャズクラブ「ドルフィー」で、グレース・マーヤトリオのライブを楽しんだ。秋なのに台風の影響か、気温が30度にもなり、超満員の会場は否応なしに熱い暑いライブとなり、最高に盛り上がった夜になった。

 今回紹介したいアルバムは、横濱JAZZ PROMENADEにも出演した金本麻里の「金本麻里with The Bop Band」だ。ステージでは今田勝トリオをバックに、デビューアルバムに入っている「アンダルシアの風」を熱唱。その堂々たる歌唱力に、前のめりになって聴き入った。金本麻里は、前号で紹介した「ちぐさ賞」の第1回目の受賞者でもあり、そのとき発売されたセカンドアルバムはすでに売れ切れているが、中古でもぜひ手に入れたい1枚だ。

 彼女は2017年度日本ジャズボーカル賞新人賞も受賞している実力の持ち主だ。盛岡出身で医療福祉の学校を経て、今も障がい者施設で働きながら活動している苦労人である。たまたま職場の仲間と盛岡のジャズスポット「開運橋のジョニー」で歌っているところをスカウトされたのが、ジャズシンガーになるきっかけとなった。

 このアルバムに入っている「ホープ(希望)」はライナーノートにも書かれているように、「希望は心であり、溢れる命の輝きであり、心よ飛べ、夢見る世界へ」と歌われ、人の心に沁みわたる。バックに2管が入ったリズミックなバップバンドと、声量豊かで力強い歌声に魅了された。

 今回東京で立ち寄った、50年の歴史がある自家焙煎の店「カフェバッハ」のアイスコーヒーは極上の一杯だった。ここのバッハブレンドは、2000年の沖縄サミットの晩餐会に提供されて好評を博したものもうなずける美味しさだった。ぜひ美味しい珈琲を淹れてじっくり聴き入ってほしい。

Mr. Vee Jay より


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