小野寺燃料

札幌の住まいと暮らしの情報誌「Sun Clover」vol.31
Mr.Vee JayのJAZZナビ

JAZZ ライブハウスの楽しみ

『 ESSENCE』
和田 明

 先日、東京と横浜にジャズを鑑賞しに行って来た。まず1カ所目は、横浜にある、現存するジャズ喫茶で日本最古の「ちぐさ」に行った。創設85年の歴史があり、戦前からジャズをかけ、6,000枚以上あったレコードは空襲ですべて焼けてしまったらしい。

 店主の吉田衛さんが1933年開業。戦後、若かりし頃の渡辺貞夫、秋吉敏子も毎日のように通った老舗。当時レコードは高く貴重で、新しいジャズは譜面だけでは感じ取れないから、何回も同じフレーズをリクエストして聴き入っていたらしい。吉田さんが亡くなり、家族に引き継がれるも2007年、73年の歴史に幕を下ろす。しかし、元常連客や地元飲食店らが協力し、2012年に現在の場所に移し有志によって運営されている。店内には、ジャズジャイアンツの写真が飾られていて、熱いジャズを聴くことが出来た。

 次に東京に足を延ばして、南青山にあるライブハウス「BODY & SOUL」でグレース・マーヤのライブを観てきた。グレース・マーヤは倶知安ジャズフェスティバルで観て以来ファンになってしまい、CDはほとんど持っている。

 ライブハウスは、入れ替えなしで2ステージあるので、ジャズの演奏と食事をゆっくり楽しむことができる。観客の中に新宿「DUG」の店主、中平穂積さんが来店していて、少しだけ話をさせてもらい、一緒に写真を撮ってもらった。帰り際にグレース・マーヤにぜひ札幌に演奏しに来てほしいことを伝え、ツーショットでスマホに納まった。こういう事ができるのも小さなライブハウスだからかもしれない。

 今回紹介したいアルバムは、第4回ちぐさ賞受賞者、和田明の『ESSENCE』だ。「ちぐさ」は元店主、故・吉田衛の生誕100年を記念し、2013年にCHIGUSA Recordsを設立。「日本に若いミュージシャンを育てたい」という彼の思いを制定したのが「ちぐさ賞」である。受賞者はアナログレコードとCDを制作して、全国発売する機会を与えられ、レコード発売記念ライブを実施してもらえる。

 和田明は現在30歳で、ジャズ評論家の瀬川昌久氏が「日本ジャズ界の男性ボーカリスト50年に1度の天才」と言わしめるほどの歌唱力の持ち主。私も最初アルバムを見て、正直「男性ボーカルか」とあまり気乗りしなかったが、1曲目の「Skylark」を聴いて、彼のどこまでも澄んだ歌声と人を惹きつける歌唱力に圧倒された。ちぐさ賞の最終選考会で、審査員と会場のファンの心を鷲づかみにして栄光を手に入れたのも頷ける。特に「Close To You」、「All The Way」がお勧めで、部屋の灯りを少し落として耳を傾けてもらいたい。

Mr. Vee Jay より


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