小野寺燃料

札幌の住まいと暮らしの情報誌「Sun Clover」
~「引継ぎ」のお話~

その9 相続の放棄

 相続は財産を引き継ぐだけではありません。被相続人に借金があれば、相続人はそれも引き継ぎます。引き継ぎたくなければ、相続放棄の手続きをとります。

相続できない場合、させない場合

 親を殺して財産を引き継ごうとしたり、兄弟を殺して分配を多くもらおうとしたなどという犯罪者は、当然、相続の権利を失います。相続人としての欠格事由としては、このほかに遺言書の改ざんや隠ぺいといったことも含まれます。このように相続人であった者が相続できなくなることを、相続の欠落と言います。
 また、相続させたくない子どもを「勘当」したとしても、法律的には遺留分の権利は残ります。この遺留分も渡さないようにするには、家庭裁判所で相続廃除の手続きをとります。ただし、相続廃除の決定は、被相続人に対する虐待、侮辱、非行等があると裁判所が認めた場合に限られますので、そう簡単ではありません。

借金の相続放棄は法的手続きが必要

 故人の財産を配偶者や子どもら相続人が全員で分割すると困る場合、一軒家など分割できない場合や分割すると価値がなくなる場合などは、相続人の間で相談して、特定の人だけを相続人として他は相続を放棄することができます。
 ただし、当事者の話し合いで相続放棄できるのは財産を受け取ることについてだけで、借金の引き受けを放棄する場合には、家庭裁判所で法的な手続きを経なければなりません。親に借金があった場合、相続人である子は当然、その借金の引継ぎ返済の義務があります。「兄弟で話し合って、借金は長男が返すことになった」と言っても、金融機関は相続人の相続割合に応じて返済を求めてきます。自身が相続放棄していることは、法的に明らかにしなければならないのです。
 被相続人の借金を引き受けたくない、相続放棄をしたいときは、自身が相続人だと知ってから3カ月以内に放棄の手続きをしなければなりません。期限を超えると相続したとみなされます。昔から、筋の悪い借金取りは、3カ月後に現れると言われていますので注意しましょう。

大名・旗本の借金相続

 相続により財産と身分を引き継いだ江戸時代の大名・旗本も、借金の相続では苦労したようです。例えば薩摩(鹿児島県)の島津藩では年々借金がかさみ、1809年に第10代藩主となった島津斉興は、約500万両という藩の借金も相続することになっています。年間の利息だけでも60万両。藩の年間平均収入が10数万両だったことを考えるととても返せる金額ではなく、現代であれば藩は倒産、本人は相続放棄したでしょう。ところが、島津藩は家老・調所広郷らの活躍で、踏み倒しに近い借金返済策と密貿易などで見事に財政再建を果たし、1840年頃には、後の討幕運動に使われる莫大な蓄財まで行っています。
 江戸中期以降は貨幣経済の浸透で旗本も困窮しました。借金から逃れるために、旗本の株(権利)を裕福な町人に売り渡す者も出ました。ある旗本は盲人の高利貸しに3万両で旗本株を売り、その曾孫が幕末に活躍した勝海舟となったことは有名です。負の財産を引き継ぐための養子縁組というものも、江戸期には多数行われていたようですね。

(連載執筆・諏訪書房相続研究会)



◎引継ぎ・相続にまつわるエピソードやご意見を募集しています。
 ハガキ、または17ページを切り取ってご投稿ください。採用分には薄謝を進呈します。
◎相続に関する専門家をご紹介します。
 小野寺燃料グループでは弁護士、税理士、コンサルタントらによる相続に関するセミナーや相談会を定期的に開催しています。参加ご希望の方、専門家のアドバイスをご希望の方は、お気軽にご連絡ください。セミナー・相談会の日程をお知らせします。
 お問い合わせ先 011-612-8080 小野寺燃料オーナーサポート係

>> 「引継ぎ」のお話 過去の記事一覧へ

>> Sun Clover トップページへ

▲ページトップへ