イラストレーション:おがわまさひろ https://masahiroll.com
災害の記憶を語り継ごう 04 山への行楽では噴火情報もチェック
70代後半の祖父が中学2年生の孫・太郎に、過去の災害について話し聞かせ、日常の防災の大切さを伝えます。今回は火山と噴火のお話です。
地震頻発は噴火の兆候
- 太郎
- 鹿児島の桜島が最近また噴火したみたい。
- 祖父
- 去年の夏は警戒レベル5まで上がったね。市街地に近い火山だから、大噴火になると大変だ。
- 太郎
- 札幌は近くに火山はないよね。
- 祖父
- 活火山はないけどね。昔は死火山とかいう分け方もあったけど、いまは噴火していなくてもその記録があれば活火山というようになった。でも、北海道の場合、開拓以前の記録はほとんど残っていないから、もしかしたら活火山があるかも。
- 太郎
- 藻岩山や手稲山も噴火するかもしれないの。
- 祖父
- わからんぞ。両方とも溶岩の地層があるし。
- 太郎
- 怖い。
- 祖父
- まあ、噴火の確率はほとんどないけどね。北海道には活火山が、北方領土を入れれば30以上ある。
- 太郎
- そんなにあるの。
- 祖父
- 札幌に近い山だと、ニセコ、羊蹄山、恵庭岳といったところかな。
- 太郎
- 噴火するのかな。
- 祖父
- ニセコも羊蹄山も、有史以来の地震活動の記録はないが、恵庭岳は40年前に山体付近で群発地震が起きている。
- 太郎
- 噴火が起きたらどうすればいいの。
- 祖父
- 札幌の市街地に噴石や火山灰が降ってくることはないだろうけど、地震が心配だね。
- 太郎
- 火山灰が降ったらどうなるの。
- 祖父
- 札幌にまで火山灰が降るような噴火が起きたら大噴火で、それは大変なことになる。富士山が噴火したら東京の交通や通信がマヒすると言われているけど、それと同じようなことになるだろう。軽石や火山灰が積もると救出や復旧活動も大きな制約を受ける。大地震以上に、長い避難生活になるかもしれない。
- 太郎
- 火山の近くに遊びに行って、噴火に遭ったら大変だね。
- 祖父
- 火山のあるところは観光地だから、山の行楽では天気だけでなく噴火情報も調べておくといい。
噴火警報・噴火警戒レベル
種別 | レベル | 呼称 | 対応する 警報等 |
火山活動の度合い | 避難行動などの目安 |
---|---|---|---|---|---|
特別警報 | 6 | 避難 | 噴火警報 (居住地域) |
居住地域に重大な被害をもたらす火山活動(噴火)が発生した、あるいはその恐れが高く切迫した状態にある。 | 危険な地域ではすべての住民が避難する。 |
4 | 高齢者等 避難 |
居住地域に重大な被害をもたらす火山活動(噴火)が発生すると予想され、その恐れが高まっている。 | 災害時要援護者は避難する。危険な地域ではほかの住民も避難の準備を行う。 | ||
警報 | 3 | 入山規制 | 噴火警報 (火口周辺) |
生命に危険を及ぼす火山活動(噴火) が発生し、居住地域の近くにも及んだ、あるいはその恐れがある。害をもたらす火山活動(噴火)が発生した、あるいはその恐れが高く切迫した状態にある。 | 状況に応じて、登山禁止や入山規制などが行われる。災害時要援護者の避難準備 |
2 | 火口周辺 規制 |
火口内や火口の周辺部で、生命に危険を及ぼす火山活動(噴火)が発生した、あるいはその恐れがある。 | 火口周辺は立ち入りが規制される。 | ||
予報 | 1 | 活火山で あることに 留意 |
噴火予報 | 火山活動はほぼ静穏だが、火山灰を噴出するなど活動状態に変動があり、火口内では生命に危険が及ぶ可能性がある。 | 火口内では立ち入りの規制をする場合がある。 |
資料・気象庁ほか