サンクローバー vol.46|災害の記憶を語り継ごう|小野寺燃料株式会社

札幌の住まいと暮らしの情報誌「Sun Clover」

イラストレーション:おがわまさひろ https://masahiroll.com

災害の記憶を語り継ごう 02 水害は川の氾濫だけではない

70代後半の祖父が中学2年生の孫・太郎に、過去の災害について話し聞かせ、日常の防災の大切さを伝えます。今回は洪水のお話です。

札幌は川の氾濫でできた土地

太郎
前号でお祖父ちゃんが「十勝沖地震の時も結構揺れたけど被害はない」って言ったけど、清田区の人から「そんなことはない。液状化で大変だった」ってハガキが来たよ。
祖父
そうでした。自分の家のまわりがなんともないと、ついそう記憶してしまう。お詫びして訂正します。
太郎
ごめんなさい。認知症の年寄りですので。
祖父
うるさい。地震も怖いけど、最近は豪雨も多い。過去の水害の記憶も、しっかり記憶していないといけない。
太郎
札幌も水害があったの?
祖父
ここ40年ぐらいは堤防が決壊するような大きな水害はないが、昭和56(1981)年8月の台風の時はすごかった。長雨と台風とで石狩川流域が大氾濫。2週間後にまた台風の大雨があって、3万戸以上の家が被害に遭ったんだ。道路も寸断したし、大変な被害だった。
太郎
そんなことが札幌であったの。
祖父
札幌市は、豊平川や発寒川、石狩川本流の氾濫で土砂が堆積した扇状地にある。だから、もともと水害の発生しやすい地域と考えた方がいい。開拓がはじまった明治以降の記録でも石狩川は何度も氾濫している。戦前までは春に融雪洪水というのもあった。
太郎
でも、今は大丈夫なんでしょ。
祖父
堤防も良くなって、昔に比べて治水は良くなっている。でも、最近は内水氾濫の危険が高まっている。
太郎
ないすいはんらん?
祖父
大量の雨に排水機能が追い付かず、処理しきれない雨水で土地や建物が水に浸かってしまうこと。札幌のような都会で発生しやすい。
太郎
札幌の中心地には創生川や豊平川もあるね。
祖父
豊平川は日本有数の急流。国土交通省は、総雨量310mmを超える雨が降ったら幌平橋下流左岸の堤防で破堤すると想定したシミュレーション動画を作っている。
太郎
310mmって、どのぐらい?
祖父
1時間に30~50mmの雨が降れば、道路は川のようになる。札幌の年間降雨量は約1200mm。3か月分の雨が2、3日で降るということかな。
太郎
そんなこと起きないよね。
祖父
わからんぞ。昭和56年は8月と9月だけで700mmの雨が降った。
太郎
どうしよう。
祖父
「札幌市浸水ハザードマップ」を見て、自分の家や通学・通勤エリアの洪水や内水氾濫など水害の危険度を知る。高くて頑丈な避難先をあらかじめ知っておいて、大雨になったら早めの避難が大事。
太郎
わかった。いまから調べておくよ。

昭和56(1981)年8月水害 札幌の被害概要

 サハリン中部で発達した低気圧から南にのびる前線が北海道中央部に停滞。これに北上した台風12号の影響が加わって豪雨となる。石狩川流域では3日夕方から6日朝まで雨が降り続いた結果、その総雨量は札幌で294mmを記録。さらに約2週間後の23日に台風15号が北海道を襲い、再び総雨量229mmもの豪雨が発生。2度の豪雨で石狩川は2度とも大洪水。水位が増した石狩川に流れ込めない支流や排水路などの水が溢れる被害も生じた。

2度の洪水の被害合計

死者1人、負傷者1人、家屋全半壊13戸、床上浸水1,942戸、床下浸水14,613戸、田畑冠水4,214ha、河川被害209箇所、道路被害159箇所、その他公共施設被害463箇所

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