健康と平和~巷の健康法を調べてみる~【第26回】
札幌の住まいと暮らしの情報誌「Sun Clover」vol.37

昭和の男

 昭和の頃は、風呂で浪花節をうなるオッサンがいた。浪花節と浪曲は一緒で、都都逸とは違うらしい。金もいらなきゃ女もい らぬ~あたしゃも少し背が欲しぃ……は、歌謡浪曲である。あんああんあんああんあああ~。

 マイクの前で着流しのオッサンが「逃げた女房にゃ」とだみ声で歌う『浪曲子守唄』というのがあった。1963年に発売され、99年までに200万枚を売上げたダブルミリオンセラー、歌っているのは一節太郎。発売時、僕はまだ幼児だったが、その後延々売れていたので、今も1番だけなら歌詞カードなしで歌える。

 中学生ぐらいになって、この歌のオッサンのような人生を歩んではいけないと強く思った。「未練はない」と言いつつ未練タラタラであることは14歳にだってわかる。しかもこのオッサン、女房に逃げられたことについて少しも反省していない。いくら子守歌が苦手でも、腹が減って泣く赤ん坊に浪花節を聞かせてどーする。

昭和の男  高校生になって古本屋の店先にこの歌の古レコードが売っていたのでジャケットの歌詞を読むと、2番に「詫びる心の浪花節」とある。反省も浪花節なんだなこのオッサン、と思って3番の歌詞を読んで、やっぱりダメだなこの男と思った。自分の赤ん坊をあやしてくれる飯場の飯炊き女が別れた女房にどこか似ていて、飯場の連中に「噂をたてるなよ」とくぎを刺して浪花節を歌っている。お乳欲しがっているのは誰なんだよ、と赤ん坊を不憫に思った17歳の僕……と、ここまでの話についてきたあなたは、きっと昭和史に造詣がある博識な若者か50歳以上の一般市民だろう。

 自慢じゃないが話は長い方だ。『浪曲子守唄』についてここまで一気に話したら、「それって何の歌ですか」と聞かれた。20代と40代。20代は仕方ないが、40代も知らないと言うのには驚いた。感慨にふけり思わず浪花節をうなりそうになった。この歌をモチーフにした東映映画があって、主演が千葉真一でその子供役が真田広之だった、という話をしようと思ったのに。逃げた女房は野際陽子じゃないぞ。

親が守る子供の歯

 まだ歯がない乳児には当然虫歯はない。では虫歯菌はどうかというと、生まれたばかりの赤ちゃんの口には虫歯菌はいない。菌は大抵、親からうつされるのだ。歯がないうちは菌はそのまま胃に流されてしまうが、歯が生え始めるとそこに定着してしまう。だから、歯が生え始める2歳前後は、親たちは特に注意して虫歯菌の感染を防がねばならないという。

 厳格な歯科医は、乳幼児の食事では、箸やスプーン、食器類を親と共有するなと言う。口移しなどもってのほか。キッスは目にして……これも昭和だな。

中川順一|諏訪書房代表、ライター。小野寺燃料非常勤取締役。1960年生まれのメタボ中年。
※このコラムは特定の健康法やダイエットを推奨あるいは否定するものではありません。

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