サンクローバーvol.49
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Question第38回療の専門分化により、一つの医療機関で治療が完結しないことが増えてきました。そこで、医療機関をシームレス(=継ぎ目のない)にするために重要な役割を果たすのが地域連携クリティカルパスです。地域連携クリティカルパスとは、大きな病院や診療所、介護施設、市町村などの代表者が集まり、1人の患者に対してつくる診療計画表のことです。たとえば脳卒中で倒れてしまった場きるようになります。また医療機関や施設側も、患者がどのような状態でいつごろ転院してくるかを把握できるため、改めて状態を観察したり、検査や薬が重複したりすることがなく、すぐにリハビリなどを開始することができます。地域連携クリティカルパスは200床以上ある地域医療支援病院が中心となりコーディネーターとして作成や調整、管理を行うことが多いですが、大合、最初に運ばれるのは脳を治療する病院ですが、治療が終わった後に半身麻痺などの後遺症が残った場合にはリハビリテーション専門の施設へ行くことになります。それに加えて在宅介護が必要な場合は、自治体の福祉部門などの力を借りなければなりません。このように、複数の医療機関や介護施設などで行う診療の流れをスムーズにするのが、地域連携クリティカルパスなのです。学病院などでは日常的な業務に追われ、診療所や介護施設などと円滑な連携が取れていないという現状もあります。この地域連携クリティカルパスが広がるきっかけになったのは、2006年の診療報酬改定によって、大腿骨頸部骨折の点数化が認められ、診療報酬を得られるようになったことです。その後、脳卒中やがんも認められるようになり、今後もほかの疾患への活用が期待されています。地域連携クリティカルパスには、治療期間ごとの具体的な目標や、施設や医師の役割分担、それぞれの医療機関や施設で行った治療や検査の内容、移動後の施設への連絡事項などの情報が整理され、わかりやすくまとめられています。「いつごろ、どの病院に転院して、いつぐらいに退院か」ということを明確化し、あらかじめ提示することで、患者が安心して治療に臨めますし、家族もフォローの体制を整えることがで 医なぜなに病院ふむふむ医療病院・医療については、松井宏夫監修の書籍『最新 病院のすべて 気になる医療業界をまるごと図解』(学研)でもっと詳しく!松井宏夫 (まつい・ひろお) 1974年、中央大学卒業。日本ドキュメント・フィルム助監督、週刊サンケイ記者を経てフリージャーナリストに。1991年『名医名鑑』を日本工業新聞社から出版。その後、5冊の名医本が続けて大ベストセラーに。名医本のパイオニアであるとともに、最先端医療など医療全般をわかりやすく解説。テレビの健康番組『たけしの家庭の医学』の監修(~2020年3月)、ラジオ、新聞、週刊誌、講演などで幅広く活躍している。日本医学ジャーナリスト協会副会長、日本肥満症予防協会理事。TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』内の「日本全国8時です」(毎月曜8:00~)に出演、病気や健康について親しみやすく解説(2014年10月~2020年3月)。病院や自治体が連携して患者の治療計画表をつくると聞いたのですが……。 医療ジャーナリスト松井宏夫の13地域連携クリティカルパス

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