SunClover48号
19/20

CISUMジャズの中にもいろいろ癒しのJAZZ※紹介したCDを抽選でプレゼントいたします。さらに、「Mr.Vee JayのJAZZナビ」をまとめた1冊『Mr.Vee JayのJAZZ雑記帳』が発行されました! ご希望の方は、p.17をご覧ください。北海道在住のJAZZ愛好家19『CLASSICS』SCOTT HAMILTON 発売元:STUNT RECORDSな種類がある。ベニー・グッドマンのような身体が自然と動き出すスイングするジャズ。ビル・エバンスのように内省的に自分自身と向き合い、湧き出る音に聴き入るジャズ。パット・メセニーのように一聴してメセニーとわかる独自性を打ち出したジャズ。少し疲れた心を癒してくれる、心に沁みわたるジャズなどがある。  道内の新型コロナの感染者が連日1万人を超え、身近な人も感染して自身の生活や仕事に影響が出ている(2022年11月現在)。心身が疲れてくると、心の病気や体の病気になってしまう。そういうときは栄養のある美味しい物を食べて睡眠時間をよくとる。そして、ささくれだった心には優しい音色で包み込んでくれるJAZZと旨い酒があればなおいいだろう。  今回紹介したいアルバムは、スコット・ハミルトンの最新作の『クラシックス』。スコット・ハミルトンは、1954年生まれだから2023年で69歳になる。1976年にNYに進出してオーソドックスなジャズを演奏していた。  その当時、フュージョンの全盛期において、レスター・ヤングやベン・ウエブスターの流れを汲む、誰もが安心して聴ける正統派なのに、飽きさせない歌心にあふれた演奏が初期の作品からも聴き取れる。彼の持ち味は、大らかで伸びやか、わかりやすく馴染みやすい、奇をてらわない奏法だ。デビュー当時から世相に捉われないで一貫している点もすごいと思う。  この『クラシックス』は、ジャズのスタンダードではなく、クラシック音楽の名曲がモチーフで、ハミルトンのスインギーで芳醇な音世界に引き込まれる。 1曲目「アイ・シンク・オブ・ユー」はロシアのラフマニノフのピアノ協奏曲第2。この曲は暖炉のある暖かい部屋で美味しい酒を吞みながらリラックスして聴きたいと思わせる演奏だ。 4曲目は、よく知られているチャイコフスキー作「白鳥の湖」だが、見事にスイングするジャズアレンジで、ベースとドラムのパートも聴きごたえがある。 ドビュッシーの〈夢想〉からは「マイ・レヴェリー」で、ソニー・ロリンズや歌物ではサリナ・ジョーンズが演っているが、見事なバラードに仕上げている。 ラストのショパンの〈別れの曲〉から「スキムニング」は彼が最も得意とする、ゆったりとしたテンポで音色を綴っていく。ヤン・ラングレンの真珠を散りばめたようなピアノも堪能できる。 今宵は暖かい部屋で美味しいワインでも呑んで聴いてください。 のMr.Vee JayJAZZナビ

元のページ  ../index.html#19

このブックを見る