SunClover48号
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の 取材時の瀬川さんは、個展とグループ展の最中でした。少し前にも個展を開催し、活発に作品を発表しています。個展を立て続けに行ったので、次は誰かとものを作りたい、と話します。以前はコンセプトに固執していた時期もありましたが、それが何かのタイミングで童心に帰って制作するようになり、最近では立体作品を多く作るようになったという変化について話してくれました。子供のように夢中になって制作することを、今はとても大切にしているそうです。彼女の展示には小さなお子さんも来るようで、立体作品への反応が大きいのだとうれしそうにしていました。それまでは控えめにお話していた瀬川さんですが、声が跳ね上がる場面が。 「自分の作品で子供が遊んでくれたら本当にうれしいし幸せ。一番やりたいのは公園を作ることなんです!」。ぜひ実現できるよう、何かお手伝いができないかと思ってしまうほどの熱意でした。彼女自身が子供への愛情が深く、子供の作るものにも興味があるそうです。そんな彼女の幼少期は、4つ上のお姉さんとよく絵を描いていたそう。絵が上手なお姉さんから、絵のバトルのようなもので鍛えられたという面白いエピソードも聞けました。こんなに高い目標設定を掲げて活動している方なのに、取材の中で、自身のことを繰り返し「行動力がない」と言っていたのが、どうしても信じられません。次に、立体作品での表現について聞いてみると、頭の中で思い浮かべたものを絵に描いて、それを立体にするため、2回の変換が行われているのだとか。その過程で生まれる一種のバグのような違和感が、作品をより魅力的にしているように感じます。……が、そう言葉で書いてもイメージが難しいので、ぜひ作品を見ていただきたいです。途中、前回の個展を見逃していたことを知り、もったいないと後悔。どのような展示だったかを丁寧にお話してもらうと、余計に悔しく感じました。そして、瀬川さんがつくる公園を見る日がさらに楽しみになりました。童心を大切に夢は「公園を作る!」 Reportろき通信Art 写真:作家提供  文:菅原由香 ※「ろき通信」は小野寺燃料が情報誌で10年以上継続しているアートレポートです。北海道出身や札幌拠点で活動する現代アートの作家たちをご紹介しています。プロフィール瀬川綺羅 立体造形作家、ペインター 1994年、北海道出身。札幌を中心に活動。アクリル絵画、立体、シルクスクリーンなどジャンルを問わず制作している。子供が無我夢中で遊び呆ける気持ちを忘れたくないと思う。そういう経験が発想の源泉となっている。将来は公園を作りたい。毎年秋頃に札幌toov cafeで個展を開催。 第23回、第25回『1-wall グラフィック』審査員賞受賞。 セガワ キラ15 瀬川綺羅さんの作品は、あるときは平面作品、別の展示ではブローチやストッキング、最近の個展では多数の立体作品。手法にとらわれず、のびのび制作する方なのだろうと気になっていました。取材では、これからやってみたいことについても聞くことができました。 ▲ 「ホネっこイヌ」30×13×20cm/素材スタイロフォローム、石粉粘土、アクリル絵の具 瀬川 綺羅制作現場アートレポート vol.85

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