SunClover48号
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第37回 奥  歯が痛くなったので歯医者に行った。レントゲンを撮った医者は「歯の根がダメですね。来週、抜きましょう」と言った。なぜそうなったのかと聞くと「老化ですよ」と簡単に言う。子供の頃、悪いことをすると「ローカに立ってろ」と先生に言われたが、ジジイになって、何かあるとスグに「ローカだ」と言われるようになった。 抜歯が決まってから痛みが増してきた。酒を飲んで紛らわそうかと思ったが、醒めた後はきっともっと痛いだろうと止めた。抜歯前日の夕飯は湯豆腐。ネギはくたくたになるまで煮えてから食べた。味変がしたくてはんぺんを入れた。鍋全体を覆うように膨らんだのを食べた。うどんを少し、ドロドロになるまで茹でて食べた。歯が痛いのに、いつもより余計に腹が減るのはなぜだ。 極太でゆるゆるの伊勢うどんは、伊勢参りで疲れた旅人のために消化を良くしたとか、多くの客に手早く手間なく提供するためにうどんを常に茹で続けたからとか諸説あるが、歯痛の人間のために開発されたという説はない。それでも、歯が痛いのを知っている妻は、親切にうどんをよそってくれた。当分、歯痛のフリをしてもいいかもしれない。 抜歯後2ヶ月、まだ抜けたところはそのままになっている。こうやって1本ずつ抜けていくのだろうか。歯が抜ければ噛めなくなる。噛まなければ早食いに拍車がかかる。拍車がかかれば肥満がさらに進む。歯のないデブは、もはや妖怪である。嫌だ嫌だ。  「歯がなくなり食べられなくなってやせ細るという想像ができないのはなぜ」と問うた妻が2週間ほど家を留守にすることになった。寝る前に歯を磨けと妻からも加トちゃんからも言われなくなるととたんに、酒を飲んでそのまま寝るようになってしまった。生活習慣をきちんとしなければ、老化が早まるということはわかっている。しかし、独りの自分を律することは、なかなかできない。看守がいると思えば、独房でも正座していられる。看守が帰るのは来週の火曜日だ。 牛乳や魚介類などカルシウムを多く含む食品やフッ素を含む日本茶が歯に良いことはよく知られていますね。また、シイタケなどのビタミンDを多く含む食品は、カルシウムの吸収を助けてくれます。海藻はph数値が高いアルカリ性食品で、これも歯に良いとされています。 このほかにも、ニンジン、ごぼう、レタス、セロリ等の繊維質を多く含む食品も歯に良い食べ物。噛むことにより、歯や粘膜の表面が清掃されることから「直接清掃性食品」と呼ばれています。 よく噛めば唾液の分泌促進やアゴの発達にもつながります。※このコラムは特定の健康法やダイエットを推奨あるいは否定するものではありません。中川順一  諏訪書房代表、ライター。1960年生まれのメタボ中年。※中川順一氏の著作『とてもヘイセイではいられない』を抽選でプレゼントいたします。詳細は17ページへ。音声版「とてもヘイセイではいられない」放送中。10直接清掃性食品巷の健康法を調べてみる健康と平和独りを律し老化を防止する

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