札幌ブログ|小野寺燃料のアパート・マンションオーナーサービス

札幌ブログ

サッポロで過ごす日常の中で見つけたもの、感じたことを綴るブログです。

変わらない風景

2023.5.15

市内のカフェから覗く通り

市内のカフェから覗く通り

 札幌生まれ、札幌育ちの私は、市内で何度か引っ越しはしても、未だ市外で暮らしたことはない。年齢と同じく札幌市で暮らし、年月を過ごしている。

 大分月日が過ぎているので、変化していないことのほうが少ないなか、変わらない姿や風景を見るとなぜかほっとしてしまう。

 新型コロナの影響もあったので、飲食店の移り変わりに拍車がかかったように思う。お気に入りのカフェで案内された席に座り、ふと外に目をやると、記憶の景色と一致する。カフェを訪れる客層は若い方も多くなって、このカフェを気に入っている人が増えていて嬉しい。昔馴染みの人もいる。

 温かいコーヒーが運ばれてきて、また外を見てコーヒーを一口含む。こういった安心できる場所を知っているだけで心の支えになるもので、これからもよろしくお願いしますという気持ちになった。

写真・文:菅原由香

自分の着るものを仕立てる

2023.5.1

市内の仕立屋

市内の仕立屋

 仕立屋をしている友人に、いくつかお世話になって、仕立ててもらった。シャツやマントは記念に作ったもので、今も着るときに嬉しさがこみ上げる。私は紳士服のメーカーで働いていたことがあり、少し生地の知識があるせいか、友人が生地を出してくれるとさまざまな生地をついつい楽しんでしまい、長くなる。

 以前から仕立屋の友人に三つ揃えを頼みたいと思っている。もちろん、友人にも伝えている。スーツに限らず、自分にぴったりのサイズの、自分で選んだ生地やボタンで着るものを仕立てる。そうした経験をたくさんの方にぜひ経験してもらいたいと思っている。この特別感はやってみないとわからないので、試しにシャツから仕立てて欲しい。

 大切に長く着ようとする気持ちがムクムクとわいてくるので不思議、そして全てが特別。世界に一つのものだと気付いた人は必ず褒めてくれるのだ。

写真・文:菅原由香

無意識に時を経た結果

2023.4.15

自宅の廊下

自宅の廊下

 気に入ったものは手入れをして使う方だが、そこまで几帳面に管理しているわけでもない。中には、そういった意識をした上で手元に残ったわけではないものもある。いつか使うだろうと思って保管していたり、出番は少ないが上質なものだったりと、理由は様々。そして、歳を重ねるとそういったものが増えてくるのだ。私はこれを『意図せずヴィンテージ』と呼んでいる。どこか気になったり、気に入っているから手元にあって、それを久しぶりに見つけた時には当時を思い出して、アルバムの写真と全く同じ働きをすることもある。

 最近の私の意図せずヴィンテージは、学生の頃に使っていたローラーブレードだ。二十年以上前のもの。春になったら公園を滑ってみることにした。しかし、誰かの『意図せずヴィンテージ』も覗いてみたくなったので友人に聞いてみることにしよう。

写真・文:菅原由香

初の発見

2023.4.1

市内の歩道

市内の歩道

 以前の職場では、点字ブロックや多目的トイレ、各窓口までの通路などを車椅子に乗って確認することがあった。もちろん、自分が普段使い慣れているわけではないので戸惑うことばかりだった。札幌市の地下道は広範囲に渡っているけれど、車椅子を使う全ての方の家の近くまで地下道があるわけではない。特に冬は段差や氷で通行が大変なことが想像できる。

 ある日、用事があって街中に行くと視界に入った何かに違和感を感じた。すぐには気付かなかったが、10秒後に、ハッとした。車椅子の前輪にミニスキーが付いていたのだ。前輪は小さいので雪道だと埋まりやすいが、これがあれば少し進みやすくなるのだろう。生まれて初めて見た驚きで、胸が熱くなった。誰かの役に立つためにある工夫を知ると、こんなにも気分が良くなるものだろうか?

写真・文:菅原由香

足元がもこもこ

2023.3.15

自宅の床で

自宅の床で

 部屋の中ではスリッパを使っていたので、あまりルームシューズやルームソックスをお店で見ることはなかったのだが、友人から足元の暖かグッズがとても進化していると聞き、まずは調べてみた。驚くほど情報が出てくる。手軽なものを知りたかったので、洗濯可能な靴下状のものを探すことにした。すると、大体のものが見た目でもわかりやすいふわふわしたものやもこもこのものが多いのだ。部屋の中で履くものなので靴を履くときのことを気にしなくてよい分、その辺が自由なのだ。そして、保湿に優れた商品も多い。段々と面白くなってしまい、気付けば友人に贈る分も購入していた。届いたものを試してみると確かに暖かく、保湿成分がよさそうだ。洗濯もいつも通りで問題ない。副産物的に見た目が着ぐるみのようになり面白いのも楽しくて気に入ってしまった。

写真・文:菅原由香

神社と私

2023.3.1

市内の神社

市内の神社

 歳を重ねるごとに、神社に立ち寄ることが増えてきた。それまでは、初詣ぐらいだったのだが、移動中に神社を見かけて立ち寄ってみたり、旅行先で寄ってみたりと、生活に馴染んできた。きっと、家のすぐ近くにあるということも一つの理由で、足が向かいやすいのだ。ある時、仕事の関係で神社について調べることがあった。その中でも神棚と人との距離感についてがとても興味深かった。そもそも神札を祀るために普及したものだが、その大きさも含めて普及しやすかったことと、家族揃って感謝とこれからの安全と幸福を祈ることを自宅でできることがまた手軽さや親近感に繋がったこともあるらしい。私は熱心に神に祈りを捧げるような生き方はしていないが、こんなにも神社の存在が身近で普通なことに驚いている。神社と向き合う時間に何かある。これは面白い気付きかもしれない。

写真・文:菅原由香

時間が勝負の料理

2023.2.15

市内の中華料理店

市内の中華料理店

 職場の仲間と中華料理を食べに行くことになった。2階に上る階段が急なため、2階席は瓶ビールのみという不思議なルールがあった。1階の席だと生ビールを飲むことができる。ビール好きの同僚はなぜ、1階じゃないんだと少し駄々をこねたが、一品目のジャガイモを千切りにしたシンプルなサラダが美味しかったので、すぐに静かになった。次から次へと美味しいものが出きて、あっという間に満腹になった頃に大学芋のようなメニューが登場すると、「早く、早く!」と急かされ、「1分以内に取って食べて!」と訳の分からないことを言われた。しかし、様子を見ていると芋を箸で持ち上げる時に細い糸状のものが出て、バリンと切れる。水飴を使っている様だ。熱いうちに食べないとカッチカチになってしまうのだ。もっと早く説明してよと思いながら、これもまた美味だった。

写真・文:菅原由香

しめ縄づくり

2023.2.1

市内のヴィンテージショップ

市内のヴィンテージショップ

 ここ2年ほどは、年末にRitaという名の花屋のゆきえさんが開催する、しめ縄づくりのワークショップに参加している。仕事でパソコンとばかり向き合っている私は、冬になると自然と向き合う時間がスーパーや八百屋で触れる野菜ぐらいなので、意識してこういった時間を作るようにしている。時間がある年は、クリスマスのスワッグづくりのワークショップにも参加していた。集中して一つのことを黙々と進める作業には、脳をほぐす作用もある気がする。ワークショップの最中は完成させることも勿論だが、それぞれの植物の香りや感触を五感で観察しながら進めるので、普段使っていない感覚を呼び起こすような、ちょっとした儀式のような、何とも言えない段階を踏むことになる。感覚を研ぎ澄ます時間は心身の整頓になると実感し、充実した一日となった。

写真・文:菅原由香

魅力を感じる建物

2023.1.16

市内の建物

市内の建物

 私は散歩途中に、どなたか住んでいる建物の外観から、どんな間取りなのかと想像することがある。引っ越しを予定していなくても、物件検索アプリなどから間取りを調べたり、はたまた、こんな間取りはないかと調べたりすることも。

 新築物件やリノベーション済みの物件など、さまざまな間取りがある中、どうも自分の好みは歴史を感じる建物に多くあるようだ。

 そこに住む予定はなくても、どんな時代背景で、どんな世帯に向けて作られたものなのだろうか?と想像するのも楽しく、その地域の歴史までも知ることができるように感じる。

 シンプルな新築物件も魅力的で暮らしやすそうに思うが、大多数の要望に応えられるようなものも増えているため、どれも同じように感じてしまうことも。

 散歩も建物も楽しみ方はさまざまです。皆さんのなかにも、間取りや住まい方を観察するワクワクを感じている方がきっといらっしゃるはずです。

写真・文:菅原由香

一緒にお邪魔できる場所

2023.1.3

市内のcafe

市内のcafe

 近所には素敵なお店があるので、とても満足している。帰り道に寄り道するのがとても楽しい。その中で、特に私好みで良い店だと思っているのが、動物と入店できるカフェである。

 一緒に暮らしている猫を、犬のようにハーネスとリードで散歩をすることもあり、動物と一緒に入れる店が少ないのを残念に思っていた。特に、猫の入店がOKのお店はほぼ無い。近所のカフェは、犬はもちろん、猫もOKというとても有り難いお店だったのだ。

 お邪魔したその日は、犬を連れた猫好きなお客様がいて、おいしいコーヒーとチーズクロワッサンを片手に、とても良い時間を過ごすことができた。

 友人のお店も動物と一緒がOKのところがあり、行く先が広がったことは本当にうれしい。もっと良いバランスで、動物と過ごせる空間が増えることを願っている。

写真・文:菅原由香

だし汁の記憶と発見

2022.12.15

市内の店頭で

市内の店頭で

 友人とだし汁について話したことがある。一番身近なのは、味噌汁のだし汁だ。私は食事の時にはなるべく味噌汁やスープなどがないとダメなタイプで、あのじわじわと身体に沁み入る感じが、湯船に浸かっているような幸福感に似ていると思っている。

 この話が友人にも共感してもらえ、その時、だし汁の存在は大きいよねと盛り上がったのだった。

 出汁の記憶や情報を共有できるように、LINEのトークルームもつくった。出身地によって違いもあるようで、さらに面白く感じる。これは、もっと調べてみる価値がありそうだと思い、日頃からいろいろな場所でだし汁に関係する物に目がいくようになった。あまりにもさまざまな場所にだし汁に関係するものがあるので、驚きもあった。

 友人とともに火が付いてしまった私。懲りずに今もだし汁の調査を続けている。

写真・文:菅原由香

夜の部活動

2022.12.1

市内のBarで

市内のBarで

 仕事後の行動範囲が狭まっていることを実感し、お誘いなどがあるときはなるべく参加するようにしている。

 友人が月に1~2回Barとコラボして食事を提供するイベントを行っていて、ありがたいことに、毎回声を掛けてくれる。都合がつかず、行けないときもあるが、定期的に開催してくれるので、「次こそは!」と予定を立てるのも楽しくなった。

 そして誘って貰ったときには、他の友人や自分の妹にも声を掛けるようにしている。

 その場に行って体感することは、生きた情報に触れられる機会なので、毎回何かしらの発見がある。いつもの行動パターンから外れるだけで見えてくる世界が違ったり、誰かとの会話の中で新しい気付きがあったり、その日にタイミングよく会えた人との会話は偶然に聴けたラジオのような楽しさがある。

 いつからだろうか、夜に人と会うことを『夜の部活』と呼ぶようになった。

写真・文:菅原由香

素晴らしい夜

2022.11.15

市内のギャラリー

市内のギャラリー

 大変な思いをしながらも、あるプロジェクトの準備をなんとか進め、お披露目当日となったとき、誰かに喜んでもらえると、やっぱりやって良かったと思う。頭に浮かぶのは、「終わり良ければ総て良し」という言葉。

 誰に教わったかも忘れてしまったが、一日を終えるときはいつもこう思いたい。

 連休のある月などはイベントの開催が重なり、どこか人と取り合いのようにもなる。でも、そんな怒涛の現場からの帰り道、全く別空間のギャラリーに立ち寄ると、先ほどまでフル回転だった頭が急にほぐれるような感覚になる。

 考え方と動き方次第で、自分の機嫌を取ることができると、頭がほぐれるだけでなく、気持ちも柔らかくなる。すると、ギャラリーの方と話が弾み、思いがけず素晴らしい夜になったりすることも嬉しい。

写真・文:菅原由香

懐かしの遊具

2022.11.1

市内の公園

市内の蕎麦屋

 公園の遊具はポップな色使いのものが多く、子どものころから好きだった。今でも遊具の近くを通りかかると、現代の遊具と、自分が子どもの頃の違いを確かめたくなり、試してしまうことがある。

 今はない4人乗りのブランコもお気に入りで、『どんぶりブランコ』と名前を付けていた。昔と変わらない遊具もあり、その一つ、ジャングルジムは永遠のレギュラー遊具だ。

 実は、ジャングルジムのシンプルな佇まいが大好きで、学生になってから、ジャングルジムはアート作品じゃないかと思うようになった。根拠はないが、同じように思っている人が多くいるのではないのではないか。

 見た目もさることながら、登ってよし、くぐってよし、ぶらさがってもよし、目印によし。友人とそんな話をした記憶もある。改めてジャングルジムの存在を見てもらえると嬉しい。

写真・文:菅原由香

蕎麦の誘惑

2022.10.15

市内の蕎麦屋

市内の蕎麦屋

 どうしても蕎麦を食べてしまう。蕎麦が好きなことはもちろんだが、今年の蕎麦を食べる頻度はちょっとおかしいくらいだ。蕎麦屋で蕎麦を買ってくることも多い。いや、これを始めてから蕎麦を食べることが増えたのだ。

 手打ち蕎麦は思っていたよりも賞味期限が長いことに気付き、これまでは市販の乾麺を買うことがあっても、大晦日前に買うくらいだった。自宅でも茹で方を守れば美味しく味わうことができ、自分好みの薬味で、まわりを気にすることなく、好きなように食べることができる。

 出先や旅先でも蕎麦を食べているが、蕎麦は同じ味のものがないので、それも楽しい。蕎麦屋さんのメニューの数だけ食べ方があって、飽きることはない。

 しかし、何でも食べ過ぎは良くない。今年の健康診断の結果を心配していたが、いちおう問題はなかった。これからは蕎麦を楽しむ日も決めようと思う。

写真・文:菅原由香

できなかったこと

2022.10.1

市内の公園

市内の公園

 夏にやり残したことがある。夏が始まる前に、暑い時期に水の上でのんびり過ごそうと決めていた。しかし、ボートに乗れなかったのだ。

 今年の夏は思っていたよりも忙しくなり、あっという間に終わってしまった。気が付けば、この夏に友人と会えたのはたったの2回。思い返して数えてみると寂しい気持ちになる。

 また、続いて行く予定だった展示やイベントにも行けなかったことを思い出し、悔しくなった。  やりたいことを書き出すといいらしい。そして、書き出したことを、よく見える場所に貼っておくのだという。ちょっと想像し、効果があるように思った。

 優先順位が変化する中で、私の場合はそれでも「ボートに乗る」ことを忘れてしまったのだ。季節は進んでしまうが、ボートに乗る日を決めた。そして、そこに友人を誘うことにしよう。

写真・文:菅原由香

「待ってるさん」の近況

2022.9.15

市内の歩道

市内の歩道

 以前、このコーナーで、「待ってるさん」について書いた。誰かを待っている姿を見るのが好きなので、つい写真を撮ってしまう。

 名前も知らない待っている人や動物を、「待ってるさん」と勝手に親しみを込めて呼んでいる。実は「待ってるさん」フォルダもあり、そこに何枚も写真がある常連もいる。

 ここ数年、近所を散歩しているときに見かけるサモエドという種類の犬がいる。その子に飼い主が話しかけないので、名前は未だにわからない。でも、大きな体でゆったり散歩している姿が見られると、なぜだか得した気分になれるのだ。

 しかし、この1カ月ほど見かけていなかったので少し心配していたが、先日、見覚えのある白いふわふわの体が寝そべっていた。暑さでぐったりというよりは、のんびりとご主人を待っている様子。元気そうで良かった!

写真・文:菅原由香

欲しいもの

2022.9.1

市内のギャラリー

市内のギャラリー

 しばらく、食べ物以外ではどうしてもこれが欲しいということがなかった。以前は頻繁に展示会やイベントに行っていたので、忙しさのせいかもしれないと思った。ときめくものの情報を集めたり、それを探しに行ったりもしていなかったのだ。

 できるだけ体が思うように動くうちに見に行くようにしよう。そう計画を立て始めたのは3年前。ところが、コロナになってから消極的になり、そんな自分に気づくことができないでもいた。

 そうした中にあって、なんとか思い出せたのは好きな作家さんの展示があったからだ。じっくり作品を見て、お話を聞いているうちにときめいて探す感覚を思い出してきた。この作品が家にあるときっとこの感覚を忘れずにいられると、願掛けをするように作品を購入した。

 作り手の感覚や考えに触れることが出来るコミュニケーションは得難い体験である。今や直接会うことは貴重な体験だ。

写真・文:菅原由香

困った癖

2022.8.15

市内カフェのテーブルの上で

市内カフェのテーブルの上で

 私は、けもの道のようにできてしまった習慣を癖ととらえている。それが、このところずっと出てしまっていて、どうにかしたいと強く思うようになった。癖を正すには行動を改めるしかない。

 私の場合はどうしても仕事が優先になってしまい、自分が本当にしたいことが影を薄めていく。目標や計画を立てて進めていることも、この癖によってぷつっと途切れてしまうことがあった。夢中になってまわりが見えなくなるのと近い状態で、視野が仕事の範囲内だけになり、狭くなる。

 この状態になっていることが気付けるならまだ良い方で、何とも言えない後悔を数えられないくらい経験してしまった。

 そこで今は、起こる前に防止するための、定期的な進捗状況確認日を作ることにしている。それだけに集中できる場所に移動して行うようルールも決めたので、なんとしてもこのまま良い癖として定着させたいと念じている。

写真・文:菅原由香

紙パック飲料への愛着

2022.8.1

市内コンビニの冷蔵庫の前

市内コンビニの冷蔵庫の前

 ある会社の500ml紙パック飲料を好んでいたが、新商品への入れ替えのため3月頃から姿を見なくなった。

 新商品も紙パック仕様だったが、以前の商品を置いていたいくつかの店に行っても取扱いがない。ようやく見つけて試してみると味が全く違うものになっており、それを知った瞬間とても寂しい気持ちになった。

 よく見ると、お店の紙パック飲料を売っているコーナーが縮小されていた。ほかの店も同様のようだ。もしかすると、紙パック飲料自体が減っているのかもしれない。これからは500ml紙パック飲料がなくなることもあるかもしれないと思い、さらに寂しい気持ちに…。

 検索してみると、同じように新商品入れ替えに反応している方がたくさんいた。紙パック飲料の存在が好きなのでなくさないで欲しい。

写真・文:菅原由香

公園の散歩仲間

2022.7.15

市内の公園で

市内の公園で

 夏っぽい気温になる日もあれば、天気は良くても気温が上がらない日があったりと、まだ夏を待っている状態だ。

 それでも公園を散歩する人は増えて賑やかになってきた。特に夕方は日も長くなって、ゆったりと散歩している方が増えたように感じる。もう少し暖かくなったら、アイスを食べたりと楽しみも増えそうだ。

 活発になってきたのは人だけではない。公園を散歩していると、いろいろな動物に出くわすこともある。犬や鳩は、よく見かけるが、カモメも人のようにゆったりと歩いていた。カモを追いかけて話しかけている人を見かけたこともある。

 先日はなんと、キタキツネが堂々と散歩をしていた。ここ最近よく見かけるので、もしかすると近くに巣があるのかもしれない。

 勝手に、公園の散歩仲間だと思うと、口元が緩んできてしまう。

写真・文:菅原由香

季節の楽しみ

2022.7.1

実家のテーブルの上で

実家のテーブルの上で

 好きなお店で好きなものを食べるのは至福のとき。でも、この2年ほどでテイクアウト可能なお店が増え、自宅でも至福の時を楽しんでいる。

 旬の食材は季節の移り変わりと共に変化する。すると、自ずとメニューも変わる。

 父と母の誕生日が来週末になったので、食べたことのないメニューを食べる良い機会だと思い、予約の連絡をした。しかし、すでに満席。テイクアウトならどうかと聞いてみると、受け取りに来てくれるのであればOKとなり、予約できた。

 テイクアウトのおかげで、実家で家族と一緒にご飯を食べることができた。初めての店に行くのが苦手な父にとっては、とてもラッキーだったようで、思った以上に喜んでもらえた。

 父は旬の野菜のお浸しが特に気に入ったようで、唸りながら食べる姿に思わず笑ってしまった。

写真・文:菅原由香

いとおしいもの

2022.6.15

市内カフェのテーブルで

市内カフェのテーブルで

 単純な喜びを、最近は特に、愛おしく感じます。これが歳を重ねることかと友人と話してみました。大まかなことを言うと、「あぁ、これいいなぁ、と思えるものだ」と意見が一致しました。

 散歩で気持ちが良くなったときは、「あぁ、これいいなぁ」の集合体だった、と友人。一つは風が丁度良かったこと、一つは天気が良かったこと、一つはスニーカーがお気に入りだったこと、一つは可愛い犬が飼い主と嬉しそうに散歩していたこと、一つはなんだか自分がご機嫌だったこと。

 聞いていて、なるほど、自分の感じていたものとも近い、と思いました。そういえば、祖母や母がそんなことを話していた記憶があります。

 そのうち全部をいとおしく感じてしまうのだろうね、と友人と微笑んだ後、飲んでいたオレンジカフェオレを指をさしながら、、これも!」と大きな声で笑ってしまいました。

写真・文:菅原由香

及び腰の自覚

2022.6.1

市内の公園の活発で小さな友人の横で

市内の公園の活発で小さな友人の横で

 なんだか気が向かないし自信もない。でも、進めなければいけないことがある。
 何かを新しく始めるには勇気がいる。身の回りの問題だけではなく、国内や国外で大きな問題が起きていて、自分の生活にも関係があるし、何かできないかと調べてみる。

 時にはつらい内容の情報と対峙しなければならないけれど、無関心や無視は後々の自分を苦しめることになる。

 …いつも不安と自信のなさから始まるけれど、始めてしまえば覚悟が決まり、始める前よりも心が軽くなっていた経験が何度もあります。やってしまえばというアレです。及び腰になっている時にこの経験をパッと思い出したいところですが、何度も繰り返してしまいます。

 ちょっとしたきっかけを見逃さずに小さなことから手を出してみたり、近くにいる家族や友人に思っていることを共有してみるのもいいかも。

写真・文:菅原由香

同じモノのはなし

2022.5.15

猫が来てしまう自宅の廊下

猫が来てしまう自宅の廊下

 日常の会話で話題に上がったモノの存在を思い出し、新たな側面から再確認した出来事がありました。職場でニシンの話が出たある日、そういえばニシンの化石を持っていたなと思い出し、そのことを話したのがきっかけでした。

 ニシンそのものや化石が特別に好きというわけではなく、その色味と表面の乾いた質感、持ったときの重さを含めた存在感。それらがなぜかとても気に入って購入したものです。

 化石としての価値を考えたこともなかったので、職場で珍しいと言われたとき、不思議に思いました。なんだか別のものについて話をしているように思え、「ニシンの化石」という言葉の意味を自分が考えもしなかったことに気付きました。ただ気に入っているということだけで満足していたのです。

 家族や友人が別人のように感じるときと似ているように思いました。

写真・文:菅原由香

定期的な楽しみ

2022.5.1

自宅のテーブル

自宅のテーブル

 予約して定期的に商品を購入するような仕組みは以前からありましたが、こういった方法でサービスを一定額で提供するビジネスモデルのことを「サブスクリプション」と言い、「サブスク」と呼ばれて浸透していますよね。

 毎月定期的に購入する楽しみを知ったのは、小学生の頃に「マーガレット」や「リボン」などのマンガ雑誌からです。もう少し遡ると、母が定期的に絵本を買ってくれたことと繋がっている気がします。

 最近、定期的に購入しているものは何かと考えてみると、結構あって驚きます。特に楽しみにしているのが、毎月7日と言えば、六花亭の「おやつ屋さん」です。普段は販売していない商品で、事前に予約してから7日に店舗まで受け取りに行くのです。その日は一日中六花亭を思い出します。

 ちょっと先の自分へのご褒美としてとても楽しみです。

写真・文:菅原由香

地下道の魅力

2022.4.15

市内地下道

市内地下道

 札幌にずっと住んでいると、その存在を当たり前に感じています。ご存知の方も多いと思いますが、札幌の街中の地下道はかなり広範囲にわたっていて、とても便利だということ。雪の降る季節には、特にそれを実感すると思います。

 地下鉄の改札を出てから目的地まで、まったく外に出ないで到着できるときもあります。少し街中から離れても、地下鉄の延長線にある地下道が便利な場合も多いです。傘を忘れた日に、この地下道を使うと濡れずにあそこまでは行ける、と頭の中でシミュレーションすることもあります。

 地下道の魅力はこの他にもあります。造られた年代によって趣の違いがあり、個性豊かな並びと広がりに、「また行こう」と強く思うこともあります。

 出かけずにできてしまう用事も増えましたが、出かけないと見ることができない場所が前よりも楽しくなったとも思うようになりました。

写真・文:菅原由香

気になる明かり

2022.4.1

市内の建物

市内の建物

 収集や記録をしているわけではないのですが、照明などの明かりが好きで、外出先などでも気付けば明かりを見ていることがあります。

 はじまりは小学1年の頃、デパートの催事場で、灯籠がたくさん展示されているのを見てからです。明かりは生活のそばにあるので、どこかのお店だったり、公園の街灯だったりと、いろんな場所でさまざまな種類を見ることができます。

 そうした中で、ここ数年気になっている明かりがあります。ある建物の2階か3階にある窓の上に赤いライトです。夜になると点灯しているようです。自分なりに調べてみましたが、はっきりとは分からず、非常用の階段等があるのかと勝手に想像しています。

 どうやら会社が入っているらしい建物ですが、人が頻繁に出入りしている感じがないので、聞かず仕舞い。・・・真相を聞くチャンスがきますように。

写真・文:菅原由香

フリーマーケットの宝探し

2022.3.15

市内のカフェ

市内のカフェ

 いくつかふらりと立ち寄るカフェがあります。ある時は考えや物事の順番を整理するため、またある時は雨宿りや暖をとるため。…その日は、暖をとるため立ち寄ってみたところ、思いもよらない嬉しいことがありました。

 そのカフェは展示スペースも併設していることから、展示も楽しむことができます。この日は展示スペースに沢山の品々が並んでいました。店主に聞いてみると毎年行っているフリーマーケットで、20名以上の作家が参加しているとのこと。食器や服、面白そうな骨董品や本等、じっくり見たくなるものばかりが並んでいました。

 温かいココアを頼んだ後に、じっくりと品々を楽しむ。作家さんの持ち物だっただけに、美しい造形の花瓶や個性豊かなポストカード、面白い編み方のニット帽など、気付くと作家のお下がりで両手がいっぱい。久方ぶりに福々とした気分で家に帰りました。

写真・文:菅原由香

悲劇か転機か

2022.3.1

自宅リビング

自宅リビング

 年末から1カ月ほど部屋で生活ができなくなってしまいました。住んでいるマンションが古いこともあり、水道管のどこかが破損してしまったのです。破損個所を突き止めるためにさまざまな確認をした結果、全ての水道管を交換することになりました。

 年末ということもあり、タイミング的にも調整等が難航しました。工事自体は1~2日ですむはずでしたが、水を使えない生活は予想以上のものとなりました。

 正直なところ、震災時とほぼ同じ状況。管理会社にお願いしても、ウイークリーマンションやホテルなどの仮住まいを用意してもらえず、実家や友人の助けがなければ生活がままならならない。

 この惨事で、残念ながら管理会社やオーナーに対する不信感が大きく育ってしまいました。でも、すぐに引っ越し先を見つけるのも難しく、何とか耐え抜きました。

 それでも、めげたくはない。何事もプラスに捉えたいので震災の訓練だったと思うことにしました。

写真・文:菅原由香

手作り梅酒の誘い

2022.2.15

友人宅の食卓の上

友人宅の食卓の上

 機会があるごとに全く遠慮せずにいただくものがあります。梅酒です。

 自家製の梅酒を仕込む方は、多いのではないでしょうか? しかし、それをいただく機会にはなかなか恵まれないものです。そこで私は、自ら梅酒が好きなことを話すようにしています。そうしているうちに、「飲むかい?」と聞かれることも増えてきました。

 ある日、仕事帰りに友人の家にお邪魔することになりました。その友人には何の前情報も伝えていませんでしたが、リビングに案内されると、すぐに「自家製の梅酒があるんだけど、どう?」と聞かれました。

 私は二つ返事でいただいたのですが、ここでしか飲むことができない梅酒をゆっくりと楽しませてもらいました。その姿を見た友人は、私が梅酒を好きだと察したようで、どんどん勧めてきました。

 私は梅酒を楽しみながら、すっかり出来上がってしまいました。

写真・文:菅原由香

レモンケーキ

2022.2.1

自宅ティーテーブルの上

自宅ティーテーブルの上

 いつもお世話になっている焼き菓子店で、シフォンケーキの横にレモンケーキが並んでいたので、合わせて買うことにしました。

 持ち帰り用に買ったもののほかに、本日のプレートセットの中に、一口分のレモンケーキが。何も考えずに口に放り込むと、自分でも思ってもみなかった声が出ました。

 生地にはしっかりとレモンピールが練り込まれていて、表面を包む砂糖のコーティングにもたくさんのレモン果汁が含まれていました。これまで食べたどのレモンケーキよりも間違いなく自分好みで美味しい。で、興奮がさめず、思わずその場でリクエストしてしまいました。「これよりもっと大きなレモンケーキがあったら絶対に買います!」。

 その後、タイミングよく私の誕生日前に大きなレモンケーキの予約が始まり、どのケーキよりもふさわしい誕生日ケーキを堪能したのでした。

写真・文:菅原由香

待ってるさん

2022.1.15

市内の歩道

市内の歩道

 人でも動物でも、モノの場合もあるのですが、誰かが何かを待っている姿を見るのが好きです。もしかすると、ご理解いただける方もいらっしゃるかもしれません。特に、動物がお店の外でご主人を待っている姿はなんとも言えない気持ちになります。

 じっと待っているいじらしさ、そわそわとして落ち着かない様子。吠えたり、心細そうに鳴いてみたり。その子によっていろいろな表情や様子を見ることができます。

 気にして見ていると、待つことに慣れている子も見かけます。人形のように動かず、黙ってその場で待っているのです。それでも、ご主人が戻ってくると、一転して嬉しそうに尻尾を振ったり、後ろ足だけで立ち上がったりして、お利口さんに待っていたことをご主人に伝えるのです。

 でも、違う人だとまるで違う反応。それも含めて、私はいつも「待ってるさん」たちを愛おしく思います。

写真・文:菅原由香

年末の玄関まわり

2022.1.3

自宅の玄関

自宅の玄関

 個人的な好みかもしれませんが、玄関まわりが華やかだといつもより機嫌がよくなります。自宅はもちろんですが、通勤途中に見かける誰かのお宅やお店なんかもそうです。そこに人が立っていなくても、挨拶をしてもらったような気持ちになるのです。

 そんなことを感じていながら、実は私自身は、自宅に飾るクリスマス用の装飾や正月のしめ縄を作ったことはありませんでした。

 そこで、花屋さんがワークショップを開くのを耳にして、クリスマススワッグとしめ縄作りに申し込みました。すると、7種類の植物とともにリボンと熊鈴が準備され、植物に触れるたびにそれぞれ違う楽しい感触と良い香り。そうした雰囲気の中で、もの作りに集中できる時間をうれしく思いました。

 もちろん、自宅の玄関に飾るときには、気分がより一層高まりました。1年後になるというのに、なんと次のしめ縄作りが待ち遠しいです。

写真・文:菅原由香

久し振りのコンサート

2021.12.15

市内コンサート会場

市内コンサート会場

 都合がつくなら何とか行けないかと思っていたコンサート。当日になって、時間的に行けそうな予感。そして、チケットも無事に購入できた。

それにしても、コンサートやライブに行くこと自体が1年半ぶりだ。行く前からワクワクするのも久し振りのこと。クラシックのコンサートだったので、家に帰ると、すぐに着替え、会場に戻ってきた。席に座っていると、大勢のお客様の期待が伝わってくる。

私だけではなく、会場に来ている方のほとんどが、きっと久し振りのコンサートだったのではないか。
開演のブザー音だけでも大きな拍手が起こった。演奏者の影が見えてくると、さらに盛り上がり、演奏が始まると何とも言えない雰囲気になった。

生で、自分の目と耳、肌など全身で感じ取ろうとすることの嬉しさが思い出せた。とても良い夜だった。

写真・文:菅原由香

欲張り

2021.12.1

買い物あとの自宅

買い物あとの自宅

 一人暮らしだと、欲張って買い物するのが難しいことがある。食べられる量が決まっている物には、特に悩む。なので、友人と集まって食事に行くときは、より楽しめるわけだが…。

 ある日、ドーナツを目の前に血迷った結果、一人では食べきれない量を買った。というよりも、買ってしまったのだ。

 家に着いてから、ドーナツの箱を覗く。さほど後悔はなかった。並んだドーナツのかわいらしさに満足したのと、好物のドーナツとくれば目にも栄養?だからである。

 しかし、ドーナツを2個食べた後に、少しずつ無理かもしれないという気持ちが湧いてきた。美味しいのだが、思っていた以上にボリュームがある。

 買う前は理解していたつもりなのに…。欲張るとこういうことになってしまう。翌日の朝ごはんとおやつも、もちろんドーナツということになった。

写真・文:菅原由香

二人の距離

2021.11.15

散歩途中の道端で

散歩途中の道端で

 よく散歩をする。自分が散歩を好きなことも関係していると思うが、人が散歩をしているところを眺めるのも好きだ。

 なかでも散歩中だと分かりやすいのが、動物と人のペア。珍しいペアも見かけることもある。この場合、動物の大半は犬ということが多いが、後姿が物語るというのは本当で、犬の場合、リードを持っている人の顔をよく見上げる。はしゃぎながら見て!といった感じで顔を覗く子もいる。

 そこから、人と動物の信頼関係が見えてくる。

 散歩をしていて、視界にほかの散歩ペアが入ってくると映画のように映ることがある。通じ合って見つめ合う散歩ペアには、言葉は必要ない。二人の後ろ姿だけでも、どんな関係なのか伝わってくる。

 散歩をし思いにふけつつ、いろんな違いを超えて仲良くできる喜びは本当に奇跡だなと、大げさではなく思う。

写真・文:菅原由香

毎日の小さな来客

2021.11.1

自宅のベランダで

自宅のベランダで

 コロナがなかなか収まらないので、人と会う約束をするにはまだ勇気がいる。で、自ずと家で過ごす時間が増え、誰かと会う時間が減ってしまっている。それでも、外は良い季節。紅葉も進んできている。そろそろ登山をしたいなと思ったりするが、近くの公園で散歩をするのが、最近のお出かけ。

 そんな私に、毎朝気になっていることがある。小さなお客様が、熱心に私の家のベランダに通ってくれる。どうしてなのか、理由は分からないが。

 突然、毎朝現れるお客様、その小さな正体はスズメさんたち。いつも数羽でやってくる。いそいそとあれこれ支度をしながら、横目で可愛らしい姿を追う。お互いすっかり馴染。今朝のスズメさんたちは朝日を浴び、ふかふかの羽の間に空気をいっぱい入れ、まん丸になっていた。

 鈴のような鳴き声で楽しそうにしている様子を見ると、また明日も来てくれるか、天気を心配するようになった。晴れて、カーテンを開けるのが楽しみだ。

写真・文:菅原由香

楽しませる構造

2021.10.15

薬局

薬局

 マンションやアパート、戸建てなどの建物には法定耐用年数と言われるものがあり、その建物によって異なるが、古い建物は取り壊しになったり、改修工事が入ったりと、いろいろな移り変わりが身近でも見ることができる。

 先日、病院に行き、同じビルの1階にある薬局で、待合室から上を見上げたときだった。吹き抜けの空間が広々と6階まであって驚いた。上を見ないで、ただ薬だけ受け取って帰っていたら気付けなかっただろうな、と。

 そこそこ年月が経っているビルだったので、いくつか改修工事のあとも見つけた。フロアの作りも、この吹き抜け構造があるため、不思議な感じがした。階ごとに色の違うネオンも魅力的で、まだ触れることのできる昭和の造形の数々をすっかり堪能した。

 それ以来、少し余裕のあるときは、行く先々で建物をよく観察してみようと思うようになった。

写真・文:菅原由香

初めての皮つきヤングコーン

2021.10.1

食卓で

食卓で

 かねがね聞かされていた。皮付きのヤングコーンを見付けたら、迷わず買いなさい、と。ついに、私にもその機会がやってきた。

 いつもの八百屋に行くと、皮付きのヤングコーンが並んでいたのだ。買ったあと、家に着くまで、どうやって食べようか、ずっと考えていた。前に検索したときに、ひげの甘さに驚くとあったので、ひげは丁重に扱った。皮をむくときも、本体が折れないように注意した。

 数枚皮を残したものをグリルに丁寧に並べ、表裏を5分ずつ焼く。焦げた皮をむいて、ひげと実の部分を取り出すと、いい香りがした。

 マヨネーズと粒マスタードに大きな期待も添え、ひげの部分を食べる。すると、予想以上に甘く楽しい触感。続けて、実の触感は茹でた笹竹のよう。ひげよりさっぱりとした甘みだ。

 この美味しさをなぜ今まで知らなかったのか。

写真・文:菅原由香

買い替え

2021.9.15

買い替え

職場の机横で

 日々の生活の中での消耗品は、特にそのバトンタッチのサイクルが早い。でも、使い続けているものがある。繰り返し同じものを買い、それを使い続けている。

 この、いつも使っているものが自分の支えの一部だと感じることさえある。

 歯ブラシ、トイレットペーパー、洗剤、化粧水、タオル。パッと思い浮かぶものだけでもこれだけある。ものによってはストックするものもある。

 ストック場所はなるべくコンパクトにしたいので、最近、減らすことのできる消耗品はないかと考えるようになった。兼用できる洗剤や、捨てる部分が少ないもの、を選びたい。

 気が付けば、“ただ便利”という理由だけでは買い物をしなくなってきた。でも、必要なものだけを買い、ストイックに生活することに憧れはしても、職場で履いている内履きを買い替えたとき、自分にはまだまだ遠い道のりだと感じた。

 ものを減らすには、まだ少し時間がかかりそうだ。

写真・文:菅原由香

いただきもの

2021.9.1

いただきもの

自宅の台所

 実家にいたころは、家に母の友人がふらっと立ち寄ったり、ご近所に果物や野菜を届けに行ったり貰ったりと、人とのやり取りが豊かだったように思う。実家を出てからずいぶんと経つが、最近になって、人との会話やモノのやり取りでも、気持ちの交換みたいなことがあるなと思っている。

 先日、友人の家にお邪魔したとき、帰り際に、畑から採りたての野菜をいただいた。一緒に庭の畑に行き、「これはいる? これは?」と会話をしながら、友人が大切に育てている畑全体を見て惚れ惚れした。

 自宅に帰って早速料理すると、友人の暮らしが自分の暮らしの時間に混ざり込むのを感じて、ほのぼのと嬉しい気持ちになった。誰にでもある暮らしの時間が行き交うと、何か特別なものになるのだな、もっとこういう時間が増えないか、改めてそう思った。

写真・文:菅原由香

シフォン祭

2021.8.15

シフォン祭

シフォン祭の店内

 この1年で、祭りというものと縁遠くなってしまった。季節の節目にあった祭りの存在は、季節の移り変わりを感じさせ、なんとなく祭りの文字に敏感になっていた。

 ネット上で開催される祭りもあって素晴らしい試みだったが、どうしても実際に触れられる祭りと比べてしまう自分がいた。人を含めた祭りの空間がないと、確認できないものがあるように感じた。

 友人の店では、毎月「シフォン祭」と題した祭りがあった。シフォンケーキを中心に、焼き菓子、季節の花を楽しめる出張花屋、トークセンという木槌を使った出張マッサージ、ビンテージの服や雑貨を楽しめるイベントで、お弁当も楽しめるのだった。

 ケーキセットを久しぶりに楽しめた。口に広がる美味しさとは別に、何とも言えない喜びがお腹の中に広がった。とてもありがたく感じた。

写真・文:菅原由香

お弁当の楽しみ

2021.8.1

お弁当の楽しみ

事務所のデスク

 コロナの影響を受け始めて1年が過ぎた。どうすれば上手く共存できるのか気を付けながらも、自分の生活全てを持っていかれないようにしたかった。

 コロナに関する仕事も増え、帰りが遅くなってしまう。根を詰め過ぎても、かえって効率が悪くなる。それで、美味しいもので自分の機嫌をとることになったりする。

 緊急事態宣言により、」店の営業時間は短縮されていた。ビンテージショップの店主が、近くの飲食店の応援を始めた。自分の店で弁当の受け渡しをするというものだった。しかも、マージンなどを一切とらず、本当の意味での応援だった。

 私はたびたび、このお弁当受け渡しの取り組みのお世話になっており、美味しい料理に励まされた。自分が食べて満足することで、そのお店のためにもなるとは一石二鳥である。早く店内で友人とおもいっきり美味しいものを楽しみたいと願う。

写真・文:菅原由香

知らないゲームソフト

2021.7.15

知らないゲームソフト

とある資料室

 職場の倉庫を整理していると、見たことのないゲームソフトを発見した。ゲーム経験が少ない私だが、仕事の関係でゲーム史について詳しい方に話を聞いたことがある。だが、このゲームについては触れられていなかった。もしかすると、主流のゲームについての話だったので、触れなかったのかもしれない。

 調べてみると、アメリカにかつて存在した、3DOというゲーム開発企業によるものだった。1993年に発売されたが、その後プレイステーションやセガサターンの普及に押されてしまったそうだ。

 倉庫にあるソフトは全て英語対応のものだったが、32ビットの世界観をのぞいてみたくなった。しかし、倉庫を片付けながらいくら探してもゲーム機が見当たらず、結局やってみることはできなかったが、昔の宝物を発見したような気持になった。

写真・文:菅原由香

マガモの散歩?

2021.7.1

マガモの散歩?

市内の公園

 鳥に詳しいわけではないが、以前の職場にはマガモが多くすみついていて、移動する姿は一大イベントのようだった。近所の公園にも数十羽がすみついおり、最近はヒョコヒョコと結構な距離を歩くので、マガモも散歩することを知った。

 そろそろ繁殖期。雛の姿が見られるかもと期待しているが、この公園はカラスが多く、子育ても難しいように思う。通勤途中、歩いてるマガモとたまに遭遇することがあり、私と同じ方向に進んでいると、一緒に出勤するようで笑いがこみあげてくる。

 なかなかフレンドリーな子もいて、つま先をつついてくることがある。これはきっと、誰かが餌付けしたせいによる餌の催促だと思う。

 同じ生活圏内にいる動物のことは、人間の影響も多いと思うので何かと気になる。

写真・文:菅原由香

ハーブ酒のワークショップ

2021.6.15

ハーブ酒の店WARUMI

ハーブ酒の店WARUMI

 気になっていたのに後回しにしていたものを勉強し始めました。そのうちの一つが、ハーブです。

 キッチンでもよく使うようになっていたハーブは、料理の味を調えるものの一つと思っていました。でも、ハーブティーからハーブの効能を知ると、おやおや? とまた興味が湧いてきたのです。

 よし! 誰かに先生になってもらい、教えていただければいいのだと思えたのは、ハーブ酒を作るワークショップを開いてくれたWARUMIの店主、小野さんのお陰です。お店に偶然お邪魔したときに、ハーブの勉強をしたいけど、どの本を読んでいいかわからないと話してから2週間ほどの出来事でした。

 ワークショップは数十種類のハーブが並び、ハーブの効能や歴史などがまとめられたテキストまで丁寧に準備されていました。学ぶことはこんなにも楽しいことかと感じたのは初めてかもしれません。

写真・文:菅原由香

美しいシャツの展示

2021.6.1

「光の庭」の企画展より

「光の庭」の企画展より

 会期は終了してしまいましたが、素晴らしい展示を観ることができました。

 シャツがテーマの、あらゆる職業の作り手が作品を発表していました。実際に着ることができるものから、見て楽しむものまで。

 各作品はこのテーマとは別に、偶然なのか色は白でまとまっていました。

 装飾の美しい男性用バレエ衣装としてのシャツ。黄金比図形でパターンを起こし、記憶に残る童話アニメのエピソードからタイトルを付けたシャツ。作業用空調服のファンを大きなシルエットのシャツに取り込み、ファンを動かすと風船のように膨らむシャツ。アイデア手帳からのメモと亡くなった友人との関りを48カ所にちりばめたシャツなど。

 このほかにも、4人の作り手により、さまざまな形が小さな空間いっぱいに展示されており、コロナと隣り合わせの窮屈な日常の中で心躍るひとときは格別でした。

写真・文:菅原由香

ぽってりとした器

2021.5.15

自宅

自宅

 実家で暮らしていたころは、器や食器にこだわりのある方ではなかった。カフェでコーヒーや料理を出す仕事の経験や、自分の食事を作るようになってから、料理や飲み物によって、こんな食器で盛り付けをしたい、あの人にはこのカップでコーヒーを出したいとイメージが沸くようになった。

 少しずつ器を探すようになり、気に入ったのがあれば購入するようにもなった。  既製品の量産の器は無駄のないデザインで使い易く素敵なものがある。一方、作家の作品では一点物で味わい深く素敵なものがある。

 贈り物として器を選ぶことも増えた。こんなときに使って貰えるだろうか、お気に入りになって毎日使ってくれると嬉しいな、と思い描く。そして、素材や形、デザイン、耐久性など色々なことをひっくるめて、器の居場所を想像する。  私の元に贈り物としてやってきた器も、きっと思い巡らせて選んでくれたに違いない。

写真・文:菅原由香

青いお茶も仲間

2021.5.1

自宅

市内のヘッドスパ

 種類は問わず、毎日なにかしらの水分を補給するために、水、お茶といった飲み物を何度も口にしている。部活をしていた時は水分を取るのを我慢するように言われていたので、水分をたくさん摂ることが重要視されるようになった今でも、少し意識しないとうっかり飲み忘れてしまう。

 水分と言えばお茶で、お茶と言えばとりあえず、「お茶しよう」というコミュニケーション。私はこれがとても好きなのだ。

 母は家に人が来たときは、約束のように必ずお茶を出していた。特別ではないように思っていたこの「お茶しよう」だが、このコミュニケーションがもたらす余裕と間の大切さは誰もが感じてきたのではないかと思う。

 先日お世話になったヘッドスパの施術後に、ブルーマローというハーブの入ったお茶をいただいた。温度や他の成分が入ると色が変わる不思議なお茶で、さらに楽しませてくれる気持ちが嬉しかった。

写真・文:菅原由香

気分転換の勉強

2021.4.15

自宅

自宅

 時間の使い方がうまくならず、毎日足りないので悩んでいる。自分の至らなさを反省しても解決にはつながらないので、時間を上手に使っている人のコツを学びたいと常々思っている。

 時間が足りないと切羽詰まってしまい、良いアイデアが遠のいたり、落ち着いて進めれば済むことも失敗してしまったりすることがある。

 ただの焦りから良くない流れを引きずってしまったときは、一度休憩するか、別のことを考えて問題と距離をおくことも大切だと学んだ。最近は、調べたかったことを本で読んだり、検索して情報を整理たりすることで気分転換を図っている。本やインターネットの情報を比較しながら考えることで、自然と頭が冷静になる。

 何かを調べたときに明らかになるものは一つとは限らず、さまざまな要素が連なって、自分の知りたかったことがそのパーツだったりもする。

 誰にとってもそうかもしれないが、私にとって「知る」ということは一番の学びだ。

写真・文:菅原由香

春めいた寄り道

2021.4.1

自宅

自宅

 自宅のコーヒー豆が切れたので、仕事の合間に、さらっと豆屋さんにお邪魔した。コーヒー豆を販売する店を、いつも好みで、いくつか利用している。

 立ち寄ったのは、細長い店内には花屋さんも隣接している、自家焙煎の豆を扱うお店。この日は豆だけでなく、その場で1杯からコーヒーを淹れてもらえるので、良い香りのコーヒーをお願いした。

 淹れてもらっている間に、花屋さんの方をじっくりと見ていると、脇の方に大きな枝ぶりの桜があった。先週覗いた花屋さんにはまだ桜が入荷していなかったので、大きいけど思い切って買っていこうと思った。値段を聞いて驚いたが、ずいぶんと安い。

 大きな枝を抱えた帰り道。まだ蕾の桜からも、ほんのり春の香りがして、ぱ~っと華やかな気分になった。

写真・文:菅原由香

看板猫のいる店

2021.3.15

市内ビンテージショップ

市内ビンテージショップ

 以前に比べると、コロナの影響もあり、お店で買い物をすることが少なくなっている。これについてはいろいろと思うことがある。

 インターネットも利用するが、顔が見えるお店で買うと、店主はどんな思いで仕入れているのか、払ったお金がどうやって誰の元へいくのか、思いが広がるのだ。自分が購入することで誰かの支援に繋がることもある。それで、できるだけ自分にとって気持ちのいいお金の使い方をしたいと思うようになった。

 よくお邪魔する、顔が見えるお店のひとつに、ビンテージショップがある。看板猫がたまに出勤していて、この猫を目当てに通う方も多くいる。店主が頻繁にチャリティー販売をすることも買う側にとっての魅力となっている。困っている人のために少しでも行動すると自分にとっての励みにもなり、周りとの繋がりをもっと大切に思うようになる。

写真・文:菅原由香

雪遊び

2021.3.1

市内の道路脇の除雪あと

市内の道路脇の除雪あと

 雪が降ると、ワクワクして外に飛びだしていた頃が懐かしい。今でも、雪を見てワクワクすることがある。

 私たちが寝ている間に除雪作業が済んで、朝の通勤時間には道路や歩道の景色が変わっている。大変な作業の後にできたこの道だが、すっかり見慣れている。

 ぐっとプレスされてできた雪山や、積もった雪を削ってできた滑らかな断面は、よく見ると面白い。つい弾んで、子どもの頃の気持ちで見てしまう。

 「この雪山に上ったら気持ちよさそうだな」「この形おかしな顔に見える」「雪山をソリで滑りたいな」…なんて、心の中で思ったりもする。

 同じようなことを考えている大人もいるもので、近々大きな公園で思いっきり雪遊びをしないかと誘いがあった。これは待ちに待ったチャンス。友人も張り切って大人も乗れるチューブを探すとか。

 さて、私は何を持参しようか。

写真・文:菅原由香

イルミネーションはお祭りだけじゃない

2021.2.15

すすきのの歩道で

すすきのの歩道で

 イルミネーションは、何もお祭りばかりではない。もちろん、お祭りの方が華やかかもしれないが、意外と身近なところでも、きれいにライトアップされたイルミネーションが楽しめる。

 毎年、クリスマス時期になると、住宅街でも、庭やベランダで楽しそうなイルミネーションが見ることができる。今シーズンは、クリスマスっぽいものばかりではなく、冬の楽しみも…といわんばかりに、早くからイルミネーションが飾られていたような気がする。

 雪の降るのも遅かったのでら、もしかすると、作業がしやすかったのもありそうだ。
 家庭で楽しむイルミネーションも好きだが、商店街や道路脇で光っているイルミナーションも味わいが合って好きだ。モチーフになっているものから、昭和に作られたのかな?と思えるのも楽しいものだ。

写真・文:菅原由香

魅惑のテイクアウト

2021.2.1

自宅のテーブルで

自宅のテーブルで

 決められたルールの中でもできるだけ楽しみたいのが私の信条。きっと同じ人も多いのではないか。

 好きなお店の料理を食べたい。好きなお店がなくなってしまうのはとても悲しいし、できるだけ応援したい。その応援が自分お喜びだし!ということで、何かと理由をつけてはテイクアウトを楽しんでいる。

 以前はテイクアウトを積極的にしていなかったも店も、ここにきて始めるところが多く、テイクアウトが定番化しつつあります。これは本当に嬉しいことで、なかなか予約が取れなかったお店の料理も食べることもできてしまう。

 料理を受け取ってから家に帰るまでの道すがらもワクワクする。食べることが好きなので、最近は食べ物の話ばかりしているようだが、食べ物以外にも、お取り寄せやネットでの買い物も増えている。みなさんは、どうなのだろうか?

写真・文:菅原由香

氷が整うとき

2021.1.15

市内の公園で

市内の公園で

 あっという間に冬の季節に入った。でも、まだ雪が積もっていないので、冬の雰囲気が足りないように感じている。晴れた日は、日差しに気をとられ、外に出てから空気の冷たさに驚かされたりもする。

 外の冷たい空気が池の水に伝わって、水面は上側から凍っていく。大人になっても不思議に思うが、池が凍ったと思っても、表層だけで、その下は魚が泳いでいる。

 水は4度のときに密度が最大になる性質を持っているので、池の中の4度の水は下の方にいく。水は温度を伝えにくい性質も持っているので、池の中まで完全に凍ることがないのだという。

 理由を知らない子どもの頃の私は、湖でワカサギ釣りをするときに、湖の下が凍ってないことに仰天した。外の温度がマイナス10度を超えても凍らない不思議に、「魔法だ」と言って騒ぎ、大人を困らせたことを思い出す。

写真・文:菅原由香

秋と冬の隙間か、秋を冬で上書きか

2021.1.1

市内の公園で

市内の公園で

 正直なところ、雪がないと冬と認識しづらい。それもあって、長いこと、地面を見て枯れ葉だけだと秋だと思って過ごしてきた。今年はまだ、この文章を制作する時点では雪が積もっていないので、頭と体に誤差が生じている。

 冬靴を履くのか履かないのか、コートは厚手のものにするかどうか、毎朝悩む。通勤で毎日通る道でも、地面と木の枝の上方を確かめる。今日は、足元の湿気が多めだな、曇っているけど明るいな…などと。

 そういったことを繰り返し確認していると、少しの変化も気になるようになる。
 あれ? もしかして今日が秋と冬の境目だったのかも、と思うことがあった。

 ある日の朝、道の脇にある枯れ葉に雪がうっすら残っていた。そして、どんぐりとその帽子がまだ存在感を残していた。だから、冬になりきっていないと思い、秋でもない冬でもない今日が季節の境目だと感じた。

写真・文:菅原由香

幻になる空き地

2020.12.15

立入禁止の空き地

立入禁止の空き地

 友人と会ったときに、“これって都市伝説になりつつあるよね”と話していたことがある。

 私が小学生のころは、空き地や野良猫はよくある一つだった。でも今は、私が住んでいるエリアでは、探さないと見つからなくなってきている。友人は、甥っ子に「空き地って何?」と聞かれたそうで、ドラえもんに出てくるシーンを思いだし、「ドラム缶が置いてあって、それがジャイアンのステージにもなったりする、自由に出入りが許されるような広場だよ」と説明したと言う。

 甥っ子は、「秘密基地みたいな場所があっていいな。空き地に行ってみたい…でも、アニメの話か」と、残念がられたと言っていた。

 この話を聞いて、自分たちの昔話が本当に昔話なのだと、ずっしりと重く感じられた。変化するのは常ですが、まさか空き地の存在が幻になりつつあるのは驚きでもあり、故郷の一つがなくなったような寂しい気持ちになった。

写真・文:菅原由香

乗り物の思い出

2020.12.1

市内の道路脇で

市内の道路脇で

 先日、幼稚園バスを近くで見て、あまりに手の込んだデザインだったので感心した。すると、ふっと昔の記憶を思い出した。

 今では少なくなったが、子どもの頃は勘違いや思い込みをよくした。それによってワクワクするようなこともあったのだが。

 車やバス、地下鉄など、人が移動できるものに乗るたびに不思議に思っていたことがあった。簡単に言うと、ドアが付いて密閉される乗り物で移動すると、時間を飛び越えられると勘違いしていのだ。いま思えば、アニメのタイムマシーンと同じように考えていたのだと思う。

 特に地下鉄は、タイムマシーンに近いものだと思っていた。地下に潜っている間は景色が見えないので、そういった想像を重ねやすかったのだとも思うが、理由を理解した今でも、乗り物に乗ると少しワクワクしてしまうのはなぜだろう。

写真・文:菅原由香

市場の自転車

2020.11.15

すすきの市場

すすきの市場

 走ることに特化した自転車“ロードバイク”に乗る人が増え、通勤で利用している人も大勢いる。電動タイプの自転車は小さなお子さんがいる世帯から年配の方まで幅広く人気がある。数年前のアニメの影響もあり、自転車事情は進化しているようだ。

 いろいろなタイプの自転車とすれ違うようになってから、その違いを見るようになった。ある日の昼頃、市場前を通りかかると、見慣れない自転車が並んでいた。新聞配達の人が使う自転車ともよく似た、たぶん市場使用の自転車だ。

 どれも黒い塗装で、看板のような物も付いている。たくさん荷物を積めるように、荷台は前後にある。肩に発泡スチロールの箱をたくさん乗せた男性が急いで自転車に向かい、手早く荷物を乗せて軽やかに消えていった。

 「カッコ良い」と声が漏れた。

写真・文:菅原由香

たい焼きの復活

2020.11.1

バーベキューの集まりの焼き台の前で

バーベキューの集まりの焼き台の前で

 個人的に、洋菓子よりも和菓子の餡子系が大好物だ。洋菓子は特別感があって、クリスマスのような華やかなイベントとセットというイメージ。それに対し、餡子系は子どもの頃、買い物に付いてスーパーに行くと、小さなトラックでたこ焼きやたい焼き、お焼きを売っていることがよくあり、とても身近だった。

 なかでもたい焼きは一番の好物で、薄皮で焼きたてだとたまらない。でも、大好物ではあっても何個もは食べられず、欲張って買ってきても、冷えてしまうと美味しさが変わってしまう。電子レンジで温めるのも悪くないが、どうもやはり違う。

 でも、長年のこの悩み。先日のバーベキューの集まりで解決した。網の上でパリッと美味しく復活させる方法を知った。焼き物のプロから直々の教えてもらったのだ。

 霧吹きで日本酒を全体にかけてから両面を焼く。素晴らしい触感も復活し、すこぶる美味だった。

写真・文:菅原由香

シャッターの絵

2020.10.15

白石区の建物のシャッター前

白石区の建物のシャッター前

 何となく写真を撮ってしまうものがある。子どものころは手軽に撮れるカメラはなかったけど、受話器型のフィルムをおもちゃのカメラにセットして撮っていた。ただ、現像するころには、どんなアングルで撮ったかも忘れてしまっていた。

 今は気軽に、気になったものをどんどん残すことができる。残せるものが増えたので、管理するためのフォルダも増えた。人に見せるのは、どうかなあと考えてしまうフォルダもある。

 その中の一つに、シャッターというフォルダがある。街中の気になるシャッターの写真がたくさん保存されている。どこで撮ったのかうる覚えのものまでさまざまだ。

 写真を撮ることが癖になっていて、気になるとすぐに撮ってしまう。もちろん個人の楽しみで、だ。シンプルなシャッターが多いので、絵が描いてあるシャッターはすぐに見つけられる。

写真・文:菅原由香

カフェごっこ

2020.10.1

自宅

自宅

 小さい頃に、おままごとや○○ごっこといった遊びをよくしていた。自分ではない何かになりきってみるのは面白いことで、今でもちょっとした真似ごとをするときがある。

 誰かの真似をすることでヒントを得たり、初めてのことも意外とできてしまったりする。

 真似というものは不思議で、その動きや思考をトレースするような作業は、自分の体に取り込む際にイメージしやすいのかもしれない。

 好きなカフェにしばらく行けないときに、そのカフェをイメージしながらコーヒーを淹れてみた。そのお店のオリジナルカップとソーサーも持っていたので、そこだけを切り取ればすっかりカフェだった。

 同じメニューの再現までには、まだまだ修行が必要だが、新たな発見があった。美味しいコーヒーや料理はもちろん、そのカフェの空間が最高のサービスだということ。好きな場所の再確認になった。

写真・文:菅原由香

坂道

2020.9.15

市内美術館近隣

市内美術館近隣

 大人になっても、たまには自転車でぴゅーんとスピードを出したくなる。
 小学生の頃はスピード自体は遅かったかもしれないが、坂道を思いっきり下るときの気持ちよさを満喫していました。

 風を切って景色が変わる様は、なんともワクワクするもの。北海道で坂道と言えば有名な場所がいくつか思い浮かぶが、身近な市内にもいい景色でワクワクするところがある。

 さすがに、その景色を体感するためだけに行くには大変な場所なのだが、近くに美術館がある。それでも自転車で向かう大変さが変わるわけではないが、いい展示を見た後にさらにいい気持になれるなんてお得だと思いませんか?

 上り坂はきつくて自転車から降りてしまうが、帰り道の下り坂は本当に気分が良い。

写真・文:菅原由香

動物の周りには

2020.9.1

市内のイベント会場

市内のイベント会場

 様々な催しが中止や延期になったが、新型コロナ対策を行って開催されたイベントもある。

 とあるイベントでは入り口を全開にし、庭先で行われるガレージセールのように、ほぼ外で行われた。新型コロナの影響で閉塞感を覚えている方も多くいらっしゃる中で、イベントのお陰で嬉しさや楽しさを感じている様子が、マスク越しでも伝わってきた。

 予想外のお客様もあった。犬のいつもの散歩コースだったお客様も、犬を連れたまま楽しんでいた。大人しくご主人を待っているワンちゃんを見て、ほかのお客様がさらにニコニコした顔をして、ワンちゃんの周りに集まった。あっという間に撮影会が始まった。

 一期一会の喜びが感じられたのも、新型コロナの影響の一つと言える。

写真・文:菅原由香

夜風の香る季節

2020.8.15

市内の公園

市内の雑居ビルで

 札幌の短い夏の間の催しが、新型コロナの感染拡大で、安全のためほぼすべてが中止になっている。そうした中、先月から不審者や声掛け等が急に増え、小学校でも保護者に連絡が入ることが多発しているそうだ。

 お祭りなどは、本来神様への感謝やその地域に住む人のエネルギーを発散するためにも行うもの…と本で読んだことがある。行き場のないエネルギーを、悪い方へ発散している人が増えているのかもしれない。

 自分の機嫌は自分で取ることに越したことはないが、気軽に外出をできないことをはじめ、このところさまざまな問題が山積みなのも確か。それで、夏らしい気温の仕事帰りに、一杯飲んで帰ることにした。階段を上ると下の方から拍手が聞こえ、サッと夜風が吹いた。拍手の聞こえる方には誰もいなかったが、気持ちの良い余韻が漂っていた。

 注意しながらという条件は付いてくるが、どうしても季節を楽しむことは忘れたくない。

写真・文:菅原由香

夏至の会

2020.8.1

市内の公園

市内の公園

 いつからか友人に誘われ、夏至の日には外でピクニックを楽しむようになった。北半球で昼が一番長い日とは知っていたので、太陽の光の恩恵を祝うような、ちょっとお祭りのような気分で参加していた。

 今年のピクニックは新型コロナでないと思っていたが、夏至の日の数日前に連絡が入った。夏らしいことをまだ何一つ楽しんでいないので、連絡がきただけでも気分がパッと明るくなった。

 当日集まってみると、大人6人、子ども3人、赤ちゃん1人、猫2匹のも大人数。それぞれが持ってきたカラフルなレジャーシートに美味しそうな食べ物を広げ、いよいよピクニックが始まった。長い時間、ゆったりと外にいるのは久しぶり。子どもたちは走り回って楽しそう。

 去年までは当たり前だったことを、注意しながらも今の状況下でも楽しめたことを、つくづく有難く思った。

写真:毛綱あゆ美/文:菅原由香

マラソンコースの整備

2020.7.15

市内のマラソンコースの道路で

市内のマラソンコースの道路で

 昨年の12月にマラソンコースの選定が終わり、東京オリンピックのマラソンと競歩の札幌開催が動き出そうとしていた中、新型コロナウイルスの影響でオリンピックの開催そのものが延期になった。

 市内のマラソンコースの工事着工も延期となっていたが、5月には急ピッチで進んでいたようだ。夜中の工事も増え、翌朝に見る道路は凹凸のない美しい路面になっていて驚くこともある。

 マンホールの高さの調整や交換、劣化した縁石の交換、車道部舗装の切除と舗装、そのほかにも歩道やガードレールの交換などさまざまな工事があると聞きいた。

 もともと緊急性があった工事ではあるし、お祭り等の中止が決まったこともあり、この時期に工事が行われるのは、なんだか不思議に思う気持ちと、オリンピックのマラソンと競歩が楽しみな気持ちとが入り混じる。

写真・文:菅原由香

オンライン会議

2020.7.01

各家庭のパソコンの前で

各家庭のパソコンの前で

 仕事や家族、友人とのやり取りでも、オンライン会議ツールを使うことが多くなり、新しいコミュニケーション手段として定着しつつある。

 猫と暮らしている仲間と、猫を連れて会う約束をしていたが、新型コロナウイルスのこの状況では会うのが難しい。このため、軽い気持ちでオンライン会議ツールを使って会うことをにした。

 始めてみると、人同士でしか使ったことがなかったので、猫の動きに付いていけず。すぐフレームアウトしてしまう。動きを追うには、スマートフォンで接続すると、猫が動いても追いかけられる。

 初体験だった今回は、何とか猫のかわいい姿を見せようと必死になり、人の動きもおかしくなった。ただ、猫はいつも通り。この対比は、これまた面白おかしく楽しい時間になった。ツールをまだ使ったことがない人たちも、お友達を誘って是非試して欲しい。

写真・文:菅原由香

花の季節

2020.6.15

花屋に寄った帰り道

花屋に寄った帰り道

 コロナ禍でいつも通りにはいかない日々が続いていますが、窓から見える景色は刻々と変化しています。天気や気温はもちろんですが、冬の間は枯れたようにも見えた木々にも、緑の葉が多くなり、日に日に色が濃くなってきます。

 気温の高い日が続くと驚くほどの変化があります。通勤途中の歩道横にあった、まだ蕾もついたばかりの茎から、次の日にはふわっと花を咲かせていたりします。すると、落ち着かない気持ちも少し和みます。

 そういえば、小学生の頃、親に連れられて山の中でスズランを見たことがあります。静かにひっそりと咲いていた様子は今でもすぐに思い出せます。小さな白い花は、机を明るく照らす照明のようにも見えました。

 大人になってからスズランに毒があることを知りました。少しでも触ってしまったら、その手でどこかを触らず、すぐに手を洗うよう花屋の方から教えて貰いました。

写真・文:菅原由香

集まる場所の変化

2020.6.1


市内の打合せスペース

 コロナ禍という、誰にとっても大変な状況下で、すぐに解決できないことが多くなり、何か良いアイデアはないかと沢山の人たちがそれぞれの立場で動き出しています。今までの動き方ではできない制限もありますが、集まる場所を解決すると進むことも増えてきました。

 そうした一つがリモートワーク。そうしざるを得ない状況で、さまざまなオンライン上の会議アプリが、その可能性を広げています。パソコンはもちろん、スマートフォンで気軽に利用できることもあり、仕事以外でもよく使われています。

 アプリによって、できることや細かな仕様は異なりますが、有料無料にかかわらずこの2カ月の間で、実にたくさんの人たちが利用し始めています。

 先日は、このツールを活かした演劇がオンライン上で行われました。考えることと動くことで、乗り切ることができる問題もあります。変化を怖がらず、進んでいけると信じたいですね。

写真・文:菅原由香

違いは楽しい

2020.5.15


新旧スタッフと市内カフェでランチミーティング

 今までも、自分の子供でもおかしくない年齢の人と仕事を一緒にすることがあったが、職場にも一回り以上歳の離れた人が増えてきた。どの世代でも、上の世代との間でジェネレーションギャップがあるなんて言われたりするが、私自身も共有していたものや時代背景が違うと必ずそうしたギャップが出てくるものだと思う。

 この違いを理解したうえでのやりとりが面白いのが、一方で、この言葉には何となくマイナスイメージを持つ人が多いような気がする。知らいないものに対する不安や恐怖は誰にでもある。ただし、知ってしまえば不安だったことが嘘のように思うことも多い。

 世代や個々で違いがあるのは当然。知らなかった価値観をお互いに共有してこそ理解が進む。だから私は、違いは敵ではなくて知識を深めるチャンスだと思って話すようにしている。

 自分とは違う仲間がいることは、心強く楽しい。

写真・文:菅原由香

突然のワクワク

2020.5.1


市内のホテル

 前職では、お客様のお仕事の話から趣味のことまで聞かせていただくことが多かった。オーダーの紳士服からカジュアルなものまで取り扱っていたので、さまざまな職種の人と話すことができた。

 あるお客様は、長年の夢であったスポーツカーを購入し、週末にドライブに出かける楽しみについて話してくれた。ある日、スポーツカーに乗るときに着る服を選んで欲しいと連絡をいただいた。

 普段は仕事用のスーツやシャツといったものを探しておられたので、うんと楽しくなるようなコーディネートを考えた。スポーツカーに乗ることはとても特別な時間だと目を輝かせながら話していた様子を思い返し、いくつか提案させていただいた。

 お洒落をしてスポーツカーの前に立つ写真を見せていただいたとき、そのワクワクした話しぶりは私にも伝染したようで、なんとも楽しいひと時となった。

写真・文:菅原由香

休日のブランチ

2020.4.15


市内のカフェ

 お金の使い方よりも時間の使い方を優先にする人が増えてきた、とラジオから流れてきた。確かに、良い時間を過ごすためにお金を使う方が増えたように思う。限られた時間をどう充実したものにするか、インターネットなどで簡単に調べられるようになったことも関係がありそうだ。

 自分を振り返ってみると、最初に思い付いたのは、休日の昼過ぎに遅めの食事に出かけることだった。午前中に平日できなかった家事を終え、散歩と買い出しも兼ね、居心地の良いカフェをゴールにした一日のスケジュールを組む。どこかで見たい展示があれば散歩ルートに組み込む。家族と友人と一緒の日もあれば、一人で過ごすこともある。

 どこか気持ちに余裕が持てるくらいゆったり過ごすことは、休日を満喫できた満足感にもつながる。すると、来週もがんばろうなんて思えてくる。

写真・文:菅原由香

ストリートピアノ

2020.4.1


市内の商業施設

 全国各地に、ストリートピアノの設置が進んでいる。札幌にも、地下鉄大通駅やJR札幌駅をはじめ、商業施設、スーパーにも設置されるようになった。もともとは、2008年にイギリスのアーティストがはじめたもので、世界中で広まり続けているそうだ。

 設置されているピアノはさまざまで、ペインティングや装飾されたものから最高級とされるスタンウェイ社のものまである。

 これらは誰でも自由に弾ける。利用者は関係者の予想を超えるほど多く、そこに集まる観客との間には一体感が育まれ、交流が生まれる可能性さえ感じるそうだ。インターネットで検索すると、実にさまざまな人が弾いている動画を見ることができる。

 我が札幌でも、多くの人が生演奏を体験し、それをたくさんの人たちに楽しんでいただきたい。

写真・文:菅原由香

あかりを楽しむ

2020.3.15


市内のカフェ

 若い頃、北欧の照明文化が大変成熟していると教えてもらったことがある。日本で多く使われる、全体を明るくするような照明ではなく、間接照明でさまざまな明るさを楽しむという。

 北欧では一つの部屋に、小さな照明がいくつもあることが多い。それらを使い分けることで明暗のリズムをつくると、部屋の印象や奥行までも変化する。もちろん、用途によっても照明を使い分ける。

 日本にも光と影の文化があったが、様式化が進んでからは、パキッとした全体を明るくする照明使いが主流となった。不動産物件では、はじめから各部屋に照明が備え付けられていることが重宝され、一部屋ごとにいくつも照明を備え付けるとコストがかかることも背景にあったようだ。

 冬は夜が長い季節だ。照明を工夫して“あかり”を楽しんでみるのも贅沢な過ごし方かもしれない。

写真・文:菅原由香

蕎麦へのおもい

2020.3.1


市内のそば処

 3歳頃から、蕎麦が気になった。祖父母がJRに乗って私の住む街まで来てくれるとき、決まって駅構内にあった立ち食い蕎麦を食べていたからだ。いつも迎えに行ったので、おこぼれを貰うことがあった。その良い香りに誘われて、あっという間に食べていた。

 外食のときには、母親もよくチェーン店の蕎麦屋に連れて行ってくれた。駅で食べる蕎麦は温かいが、蕎麦屋ではいつも冷たい蕎麦を頼んでいた。のど越しがたまらなく好きだった。

 年中蕎麦ばかりを食べているわけではないが、気がつけば蕎麦屋を選んでいることが多い。社会人になってからは、冷やした抜きばかり食べるようになった。旅行先でも立ち寄ってみることが多い。その店によって、見た目も、乗っている具もさまざまで本当に楽しい食べ物だと思っている。

 まだまだ飽きることはない。これからも、ひっそりとさまざまな蕎麦を楽しもうと思う。

写真・文:菅原由香

優しい心遣い

2020.2.15


仕立て屋の友人のお店

 ほんの少し先を想像した優しさに感動することがある。きっと素敵な環境で育ったのだろうなと思って感心してしまう。

 先日、仕立て屋をしている友人から、頼んでいたフード付きのマントが仕上がったと連絡があり、ウキウキしながらお店へ向かった。友人はマントを準備している間に、温かいコーヒーを淹れてくれた。優しさになんとも嬉しい気持ちになる。

 そして、手元で何か作っているので、別のお客様の準備で忙しいのかと思っていた。しかし、なんと、マントの余った生地、バラのブローチを作ってくれていたのだ。

 こうした優しい心遣いに、他のお客様もすっかりファンになっているのだろうと、勝手な妄想も付け足して嬉しくなってしまった。自分も友人同様に、いつも気持ちに余裕をもち、人を喜ばせることができるようにありたいと思うとともに、優しい友人に恵まれている嬉しさをつくづく感じた。

写真・文:菅原由香

猫のいる暮らし

2020.2.1


猫とお呼ばれした友人宅にて

 友人が、1カ月ほど保護猫を預かってくれる人を探しているよ、と私に知らせてくれました。最初に聞いた、「黒い子猫」という情報だけで預かりたいと連絡し、家に迎えることになりました。

 一緒に暮らし始めて8カ月。自分の中の勝手な猫のイメージとは一致しないことが分かり、当たり前ですが、猫にも人と同じように個性があると知りました。

 一番の驚きは、外に出たいと催促されること。それで、ハーネスとリード、猫用のリュックを購入しました。これで公園や海に行ったり、友人の家にもお邪魔したりしています。

 実家に連れていくことも増え、猫のおかげで会話が増え、笑ってばかり。一番面白いのは、猫が人を大きな猫だと思っているらしく、人がトイレに立つとドアの前で待ち、「砂は掛けたのか?」という顔でチェックするのです。

 気付けば、猫が隣にいることにすっかり慣れて、お互いが欠かせない存在になっています。

写真・文:菅原由香

生活の感覚

2020.1.15


整理に悩ましい家具

 大人になって、こういうことは学校に通っているうちに教えて欲しかったということがいくつもある。生活に直接つながる重要なことは、家族や友人、または自分がぶっつけ本番で学ぶしかない。公共料金の支払い方、北海道だと水道の水の落とし方が重要だったりする。
 どんなふうに暮らすのが自分にとって良いことなのか。社会人になって何十年たっただろうか。何回か引っ越しを経験し、マンションや一軒家でも暮らしたこともある。
 私の場合はぶっつけ本番で学んだことがほとんどだが、暮らしの一通りのことは何となくできるようになった。気付かないうちに好みの家具を選ぶようになっていたし、物件を探すときも、自分の好みと、近所にどんな店があるかを、バランスを見ながら選択できるようになっていた。
 生活もまた学びの場で、人からだけでなく、生活の積み重ねの中で育つ感覚もある。

写真・文:菅原由香

落とし物

2020.1.1


市内の道の脇に

 冬は荷物が増える。荷物というか、身に付けるものが増えるので、付けたり外したりと忙しくなる。そうなると、どこかに落としてしまったり、忘れてくることがある。
 私は毎年のように冬に何かを失くす。去年はスカーフ、その前は手袋。思い起こすと、気に入っていたものが多いので切なくなる。
 友人はうっかり大切な財布を落としてしまったが、警察に届いていた。お金は入っていなかったものの、財布そのものはどなたかのお陰で手元に戻ってきたのだ。
 私は、なるべく警察に届けるようにしている。少し面倒でも、困った人が自分だった時を考えると、届けるのがベストだと思っている。先日だが、可愛らしい襟巻が、道の脇の塀の上に目立つように置いてあった。拾った方の優しさが伝わるような置き方で、思わず写真を撮ってしまった。
 翌日にはなかったので持ち主の元に届いたに違いない。

写真・文:菅原由香

アイデア

2019.12.15


市内のグラフィックデザインイベントの会場

 小学生の頃に社会科見学で市内の工場を見に行ったことがある。確か西山製麺の製造工場だった。見たことのない大きな機械と、いくつもの工程で麺が出来上がるのをワクワクしながら見ていたのを覚えている。
 何かができるまでというのは大人になってもとても魅力です。知らない構造の製品ができあがるまでの動画を見るのも永遠と見てしまう時があります。
 先日、グラフィックデザイナーが缶バッジのデザインを公開制作するイベントがありました。アイデアが形になるまでの途中経過は本当に面白いものでした。その場でいくつもアイデアが形になり手が動く様子までみていると、作り手の頭の中を覗いているような感覚になります。
 自分の頭と体の使い方しか知らなかった筆者にとっては、こういった機会が大変刺激になりました。ワクワクする時間を誰かとも共有したいです。

写真・文:菅原由香

紅葉の楽しみ方

2019.12.1


市内の公園のイチョウ並木

 年この時期になると美しい紅葉を見たいと、大勢の方が移動します。それは公園や山深い山林だったり、近所のお宅のお庭だったりと様々です。自然の仕組みで、大規模に目に映る世界の色が変わるのは圧巻です。
 写真撮影をされる方も多く、観光客の方の中には、凝った衣装とメイクでモデルさながらの撮影会を行っていました。紅葉の楽しみ方は実に様々です。
 紅葉の様子を見て楽しむだけでなく、落ち葉を使って作品にする方、子供たちと落ち葉を拾いあつめて、葉の種類ごとに形や香りの違いを調べるワークショップをしている場面も見受けられました。
 北海道は一足先に紅葉を楽しめましたが、ほかの地域では12月上旬まで楽しめます。行ったことのない地域の紅葉もぜひ見に行きたいです。

写真・文:菅原由香

打ち合わせスペース

2019.11.15


市内のショールーム

 学生の頃に、インテリアや美術関係の展示とか空間のつくり方を勉強した。それが関係してか、スペースづくりを任されることが多い。転職先でも、そのたびに任される。嫌いではないので良いのだが、はっきり言って、専門家ではないので期待されると大変困ってしまう。しかし、嗅覚は良い方なので、誰に相談するといいか、どこへ行けばよいのかはすぐに分かる。
 今回は、限られたスペースの中で、ちょっとした打ち合わせができる場所をつくることだった。話を聞いている間に、いろいろ頭に思い浮かべていた。そして、確かこんな商品があったよなと。
 翌週、心当たりのある会社にお邪魔し、お目当てのものを見せてもらった。小さなホワイトボードとコンパクトなスツールを、部屋の隅にちょっと置くだけでいつでも打ち合わせが可能だ。
 職場で商品情報を紹介すると大変喜んでもらえた。商品の納品は先だが、打ち合わせしやすくなるのはとても嬉しい。

写真・文:菅原由香

アンラッキーかラッキーか

2019.11.1


自宅の洗面所

 今住んでいる古いマンションの各部屋に点検が入った。夏に共用部からの水漏れがあり、その原因を突き止めるためだ。すると、ビンゴというか、自宅の水道管の劣化によるものらしく、床に穴をあけることになった。そうしなければ分からない状況だったので、急な工事により、点検口という名の穴が3つもできた。
 1カ月ぐらいかけて各部屋を点検したため、水道管を修理した後は皆安堵の表情だった。
 でも実はこの時、洗面所のタイル壁にも穴をあけられ、それから2カ月ほどもそのままで過ごすことになった。ずっと落ち着かなかったので、床と壁を直す作業が入った時は、「待ってました!!」という気持だった。
 少しラッキーだったのは、カタログから好きな床材を選べたことだ。前より部屋に愛着が湧いて洗面所に立つのが嬉しい。

写真・文:菅原由香

後悔

2019.10.16


愛されていたシンガポール料理店

 立て続けに、皆から愛されていた飲食店が閉店してしまった。仕事でもそうだが、慢性的な担い手不足がどこでも起こっているように思う。閉店してしまった店も経営不振だったわけではないので、それが余計に悔しい。
 いつもなくなってから、その存在の大きさを知ってしまいがちだが、他に何か継続の方法がなかったのかと悔やみきれない。
 オリンピックを控え、日本国内のあらゆるところで街が急激に変化している。「いつも」というのは現象としては存在しえないのかもしれない。ある一定の期間の中に存在している「いつも」を捉えることはできても、永遠に続く「いつも」は夢想であって現実ではないと気づかされてしまう。
 あの味も、あの雰囲気も、いろいろな人と過ごした時間も同じで、なんだかとても悲しくなってしまった。なくしたくないものを大切にする方法を、全て試してみたいと思う。

写真・文:菅原由香

知らないルール

2019.10.1


市内のバス停の横の木々の印

 自分の中での当たり前なものをルールだと思いがちだが、職場が違うだけでもルールが違うことが多い。自分の当たり前を人に押し付けてしまうこともある。また、それが邪魔をして大変な思いもした。
 それからは、友人と話しているときでも、頭に「?」が浮かぶことがあると、友人の中で何か違うルールや約束ごとみたいなものが存在するのだと思うようにしている。
 また、聞き慣れない言葉や名称は、その都度確認するようにしている。会議の進行上、すぐに確認できない場合もあるが、そのときはこんなことかなと想定しながら話を聞き進める。すると、聞き終わってみて、やはり何のことだかさっぱりといったときもあり、ヒヤッと。
 だから、戻れなくなるほど勘違いする前に、やはり確認が大切だと感じている。写真のバス停の横の木を見て何かルールがありそうだと感じ、確認の二文字が頭をよぎった。

写真・文:菅原由香

ここは台湾?

2019.9.17


市内の公園

 ほぼ毎日、公園を散歩する。近くにはホテルが多く、少し歩くと、観光客の姿が視界に入る。そして、これは学生の頃からだが、散歩中にもよく道を聞かれる。そこで、拙(つたな)い英語と、ジェスチャー、メモで受け答えする。
 台湾から来た人に声を掛けられたとき、不思議なことを聞かれた。「今朝、ホテルで起きたら、ここが台湾だと思ったんだ。それで、外を歩いてみようと公園まで来たんだ。君もそうなのかな?」。
 ちょっと驚いてしまった。同じ観光客だと思われていたのだ。近くに住んでいて、この通りは散歩コースだと伝えると、目を丸くした。そしてなぜか、公園のベンチに誘われ、どこが台湾に似ているか説明が始まった。公園にある一角を両手で四角く囲い、「ここなんて近所そっくりなんだ!」と楽しそう。写真はそのときのアングルだ。
 面白く、不思議な朝だった。

写真・文:菅原由香

アーケード商店街

2019.9.1


市内のアーケード商店街

  多種多様なアーケード商店街が全国各地にある。昭和生まれの者にとってはノスタルジックな印象が強く、その街の小宇宙のような存在だ。だから、初めて訪れる街にアーケード商店街を見つけると、ほっとすることもよくある。
 「福引き」と聞くと、ハンドルを回すと当たり玉が出るガラガラと、音のよく通るハンドベルがすぐに思い浮かぶ。海外からの旅行客がその様子を見て、「賑やかだね。お祭りなのか?」と聞かれたことがある。
 日本語が上手な人だったので少し話した。観光に来ているけど、景色の美しい所ばかりではなく、そこに住んでいる人の日常を見に来ていると話す。そして続けて、ここに来たのは大正解だったと。
 本当にうれしそうに話すので、日本のほかの街に行くことがあれば、アーケードを探すと良いよと勧めた。すると、返ってきたのは、「どこにでもあるの? 信じられない!」という驚きだった。

写真・文:菅原由香

締めのチャイ

2019.8.15


市内のネパール料理店

 スープカレー店に、チャイという飲み物があることが多い。おそらくスープカレー店が増えるのにつれ、チャイも認知度が上がったのではないかと思う。私もスープカレー店が増え始めた頃に、チャイと出会ったように思う。
 チャイがミルクティーと違うところは、ショウガやカルダモン、シナモン、クローブなどの香辛料が入っているところで、店によってその調合が違い、それもまた良い。
 チャイは本来は、砂糖を多く入れ甘くするらしいが、札幌の多くのお店では、調整できるよう無糖な場合が多い。
 友人に無類のカレー好きがいて、本格的なカレー店によく誘ってくれる。家にはない豊かな香りが店中に広がっていて、行くだけで気分転換になる。そして、香りだけでも元気が回復するように思う。
 刺激の多い料理を食べ終わったあとの、締めのチャイは、ミルクと溶け合った香辛料がふわっと香るのがまた良い。

写真・文:菅原由香

お土産の嬉しさ

2019.8.1


市内の猫と暮らす友人宅

 お土産をいただくのは突然が多いので、その心遣いにサプライズ感を覚え、素直に嬉しくなってしまう。小さなお菓子でも、その日のモチベーションがぐっと上がるくらい、お土産には不思議なパワーがある。
 職場でも出張帰りの方からお菓子をいただくことが多い。ある友人は、旅行先で手拭いを見つけては、お土産にと買ってきてくれる。これもまた嬉しく、手元には色々な柄の手拭いが集まってきた。
 ある事務所では、貰ったお土産のパッケージをスキャンしてデータで保存している。コレクションを見せてもらうと、見慣れたものから珍しいものまであり、とても楽しい。
 その土地のものや変わり種、笑ってしまうようなものまで、お土産の選び方はその人の人柄も映す。渡したい人の好みもあるが、渡すときの喜んでも貰える顔を思い浮かべる。
 お土産は、渡す方も貰う方も笑顔になれてとても良いものだと思う。

写真・文:菅原由香

外でコーヒー

2019.7.15


場所 市内の河原で

 カフェや喫茶店が増えたように、淹れたてのコーヒーもコンビニで気軽に楽しめるようになった。だから、仕事帰りにコンビニでコーヒーを買い、歩きながら飲んだりする。家でも職場でも、外でもどこでもコーヒーを飲めるようになったのがうれしい。
 行儀は良くないかもしれないが、子どもの頃から外を歩きながらアイスなどを食べたりするのが好きだった。「外で」となると、子どもなら何でもワクワクしてしまうものなのかもしれない。もしかすると大人でも変わらず好きなのかもしれない。
 キャンプのとき、外で飲むコーヒーの、何とも言えない贅沢な感じで好きだ。先日、河原でバーベキューをしたとき、カフェをやっている友人がコーヒーを淹れてくれた。自分ではない誰かに淹れてもらうコーヒーを外で楽しめるなんて。しかも、プロが淹れるやつを…。甘いものも出てきて、あまりに贅沢な時間だった。

写真・文:菅原由香

簡単には帰りたくない

2019.7.1


場所 市内の歩道から見えた看板

 夏は欲張って楽しみたくなる。
 札幌は夜になっても気温がフワっと暖かく爽やかなので、仕事のあとなんかは真っすぐ帰ってしまうのがもったいなくなる。この時期だと同じ気持ちの人が大勢いると思うし、ビアガーデンが大盛況になるのも納得できる。
 うれしいことに、札幌には通いきれないほどの飲食店がある。自分のお気に入りの店に同僚を連れて行き、あれこれと勧めてしまうことも。話が盛り上がり、「もう一軒!」だけ寄って帰るつもりがハシゴをしてしまい、4軒目なんてこともある。それもこれも、美味しい店が多いので仕方がないようにも思う。
 次の店へ移動中に友人とばったり会うことが増えてくるのも、やっぱりこの時期だから。「そっちも飲んでるの? どこに行ってきたの?」なんて、楽しそうな姿を見てうれしくなる。
 気持ちの良い季節。簡単に帰りたくないときは、家族や友人、同僚を誘って外食も良いですよ。

写真・文:菅原由香

保護猫

2019.6.15


場所 市内の友人宅

 しばらく野良猫を見なくなったと思っていたが、知り合いの作家のアトリエ近くに子猫を置いて行ってしまった野良猫がいて保護したと連絡があった。頭に浮かんだのは市内で保護猫の譲渡会を行っている団体だった。しかし、その団体に連絡する前に作家の知人伝えに預かり先が決まった。会ってもいない子猫だがほっとした。
 詳しく話を聞くと、保護してから数カ月が経っており、お嬢さんがひどい猫アレルギーで喘息になってしまったそうだ。お嬢さんは猫が好きだったそうだが、気の毒にも飼いたくても飼えない状況になってしまった。
 譲渡会を行っている団体は、こういったいろいろな理由も含め、猫や理由があって猫を飼えなくなってしまった方へのサポートをしている。こういった団体の活動のお陰で野良猫を見なくなったのかもしれない。
 人と猫、また他の動物とも良い関係でバランスを取って暮らせる街になると良い思う。

写真・文:菅原由香

花の名前

2019.5.31


場所 市内の歩道で

 北海道もすっかり暖かくなって、夏に向けて植物たちがすくすく育っているように見える。歩いていると、風に乗って植物の良い匂いもしてくる。
 中島公園を歩くと、開けた芝生の広がる場所があって、その周りには知らない植物もたくさんある。植物の近くに札があり、親切に名前を教えてくれる。
 ビル街に行くと、歩道の脇や建物と建物の間の小さなスペースにも、誰かが植えた植物が育っている。でも、ここでは札がついていない。植物に詳しい方ではないので、気になって調べてみるが分からない。
 SNSを使い、写真と一緒に「この植物の名前をご存知の方いらっしゃいますか?」と投稿してみると、「シデコブシじゃないかな?」とすぐに回答があった。有り難いのと、SNSでたくさんの人の知に触れられる可能性にドキドキしてしまった。  こういったやり取りができることをとても嬉しく思った。

写真・文:菅原由香

コーヒーの時間

2019.5.15


場所 市内のカフェ「pool」のカウンターにて

 いつからかすっかりコーヒー党だ。カフェでコーヒーを淹れる店員だった頃もある。自分の好みのコーヒーを見つけるのは得意だし、希少な豆をいただくこともあったので、コーヒー人生みたいなものがあるなら、私はかなり恵まれている方だ。
 コンビニで買うコーヒーも好きだし、自分で淹れるのも好きだ。そうしたコーヒーの何が一番好きかと言うと、あの香だ。この香に頼って自分の切り替えを助けてもらっている。
 一日の中で済ませたいことが山ほどある。切り替えが上手くいかないと翌日に繰り越す案件も出てくる。人によって切り替えに使うアイテムは違うかもしれないが、私の場合はコーヒーだ。
 豆を挽き、カップにコーヒーを淹れるまでの時間にはもう一つ意味があるように思う。毎回自分で淹れるわけではないけど、切り替えが上手くいく気がするので「儀式」のように捉えている。
 これからもコーヒーの時間は続きそうだ。

写真・文:菅原由香

舞台美術

2019.5.1


場所 弦巻楽団の「わたしたちの街の『ジュリアス・シーザー』」より

 あまり多い方ではないかもしれないが、少なくても年に4本くらい演劇を観に行く。大きな公演になると、舞台の作り込みだけでも大変手が込んでおり、搬入はどうやったのだろうかと興味が湧く。大きはない、地元の劇団による公演でも、舞台美術が素晴らしいものがある。
 ここ数年は、美術家に舞台美術を任せているパターンを何件か見ている。ジャンルが違う中で、物作りを経験できるのはとても素晴らしいことだと思う。
 先日観た公演もそれで、少し特殊な場所での公演だったため、客席作りから本公演まで全て開いた状態で見せていた。その場へ連日通えば、一つの舞台の完成までも楽しめた。この特殊な環境も含めた舞台美術は、ぴったりと合っていた。
 私の周りに作り手が多いせいか、舞台美術が気になってしまうが、これからもこの視点で楽しみたいと思う。

写真・文:菅原由香

ひっかかりの謎

2019.4.12


場所 昼休みの職場のデスクで

 今、自分がなぜ立ち止まったのか。日々、習慣や予定をもとに行動する以外は、思いつきの場合が多い。そうでないときは、別の目的が発生した場合だと思う。子どもの頃は、見るもの全てが新鮮に映り、どれも興味深く、目を輝かせて覘(のぞ)いた。
 長じて、そうした行動をある程度コントロールできるようになっても、意図せず急に自分の動きを止めたり、行動を変更したりすることがある。
 私は形に反応する場合が多いが、その理由は明確ではない。ある単体の物質の造形や、複数のものが同時に存在するその構図の場合もある。頭で考えるよりも先に、視覚から入った形の情報が私を止めるのだ。その後に、“なぜだ”と考え始めるが、理由はほぼいつも見つからない。
 そして、運良く対象が購入できる場合は必然的に所有物となる。昼休みに目に飛び込んで買ってしまったコレについても答えを出せずにいる。

写真・文:菅原由香

キャラクターとの距離

2019.4.4


場所 市内の地下道で 

 人見知りではなくても、初対面で急に仲良しになるなんてことはない。
 今年はテレビ放送が始まって66年目になる。そうなると、あまりにざっくり過ぎるかもしれないが、大体の人を“テレビっ子”と呼んでも許される気がしている。私もそうしたテレビっ子だ。
 子ども向けの番組を見ていた人も多いだろう、思っている以上に、これらの番組から影響も受けているはずだ。その一つが、キャラクターの存在だ。
 道を歩いていて、ふと向こう側に何かのキャラクターの着ぐるみが視界に入ったとする。“何かのキャンペーンかな?”とは思いつつ、不審に思ったりする人よりも興味を持って近づいたり、写真を撮ろうとする人の方が多いのではないだろうか。
 着ぐるみというだけで親近感が湧くのか、顔がゆるんでしまうのは事実だ。なんとなく共通で持ち合わせているこの距離感に興味がある。

写真・文:菅原由香

リアル謎解きゲーム

2019.3.15


会場

 体験型ゲームをしたことがありますか? 最近は、アニメとタイアップした、時間制限のある脱出ゲームがいろいろな街で行われています。ここで紹介するのは、それとは少し違い、ある謎を解きながらゴールを目指すテレビゲームを、実際の場所に舞台を移し、自分の身体を使って移動しながら進めていくものです。
 内容はさまざま。今回参加したゲームは、施設にまつわる謎を解きながら、施設についても詳しく知ることができるタイプでした。
 初めて参加した感想は、とても複雑に上手く問題がつくられていることに感心したのと、気付いた頃には夢中になって問題を解き、先を急ぐ自分がいたことでした。こんなにも集中して頭と体を使うことがなかったので、ゴールしたときの達成感と爽快感は味わい深いものでした。
 面白さを詳しく話せないのが残念ですが、機会があるときは挑戦して欲しいです。

写真・文:菅原由香

雪の花

2019.3.1


歩道で

 毎年、寒さの厳しいころに、本当に夏がくるのか不安になるときがあります。同じ土地に何十年と住んでいても、目の前に真っ白な雪を体感してしまうと、必ずくるのが分かっていても信じられなくなるのです。
 見慣れているはずなのに驚いてしまうのは、雪まつり。その存在もそうなのですが、旅行客ばかりではなく地元の人も雪に圧倒されていまいます。あの大きな公園が会場となり、美しい雪像やイベント、ジャンプ台でのパフォーマンスに魅了されてしまうのです。
 会場を離れた普通の道でも、驚くことがあります。その日のコンディションにもよりますが、街路樹に咲く雪の花が大変美しく、誰かが手をかけてつくったものではないのに、それらの完成度の高さに目を奪われてしまいます。
 こんなにきれいな季節があるのだなと、そのたびに思いますが、何度経験しても新鮮な体験のように感じます。そして、それゆえ、本当に夏がくるのか不安になってしまいます。

写真・文:菅原由香

ワクワク文具

2019.2.1


作業場の上で

 仕事をしていると文具はいくつか必要になります。文具がそばにある人生を、学校に通う前の子どもでも、意識する前から歩みだしていると言ってもいいほどです。
 私は文具にこだわりがある方です。機能性も重要ですが、まずは持っていて使っていて楽しくなる、または気分が上がるかを選ぶ基準にしています。
 もう一つは、希少すぎないこと。なくしてしまったときに、なるべくスペアが手に入りやすいことが望ましいからです。
 新しい文具を選ぶときは今でもワクワクします。先日、仕事用に買った書類ラックを組み立てるときは、子どもが新しいおもちゃを与えられたときのように喜んでいたので、同僚にちょっと煙たがられました。
 こういった身近なものがお気に入りだったりするとモチベーションが上がるので、これからもワクワクしたいと思っています。自分の気分を調整するのも大人のたしなみですしね。

写真・文:菅原由香

懐かしの景色

2018.1.15


新札幌にて

 遠い記憶を引っ張り出すと、いろいろなことが思い出される。俗に言う“思い出補正”が働いてしまって、その記憶が正しかったかどうか定かではない。
 私の幼少期は、子どものわりには遊びに行くテリトリーが広かったように思う。友だちとも、一人でもたくさん遊んだように覚えている。
 このコーナーを、新札幌で買い物をされる方が読んでくださっていれば頷いてもらえるはずなのが、駅に直結したこのショッピング街が巨大な遊び場としても大変優秀だったということだ。
 いろいろな建物が繋がっていて、少し複雑な構造をした建物の中を移動するだけで大きな迷路を探検している感覚があった。今の私では感じ取れない面白さを、当時の私は小さな体いっぱいに感じて遊んでいた。
 懐かしい景色を見ると、面白い思い出ばかりが頭をよぎり、あの子はどうしているかな?とかついつい思ってしまう。こういうことは誰でも持っている結構大切なことだと思う。

写真・文:菅原由香