小野寺燃料

札幌の住まいと暮らしの情報誌「Sun Clover」vol.29
~ろき通信 vol.67~

小森 愛(こもり あい)の制作現場

 ジュエリーブランドを持つ小森さんとお話したのは、ある忘年会でご一緒したときでした。なんて柔らかく優しくお話しする方なのだろうと思ったのを覚えています。そして取材の機会を得た今回、改めてお話を聞くと、また違う一面も見えてきて、ますますファンになってしまいました。

経験から培った誇りの高さと自信

 ジュエリー作家の道へ進むことになったのは、趣味でアクセサリーを作っていた職場の上司にアクセサリーキットをプレゼントされたのがきっかけでした。いろいろな仕事を経験し、今後の働き方に疑問を持っていた時期でもあったため、作品を作るのがどんどんと楽しくなっていったそうです。

 今回、彼女の口から「まだまだ」という言葉が何度もこぼれました。見えている先、目指している場所はどんなところなのでしょうか。
 実は、小学校のころは図工が苦手。絵を描くのも苦手で、何をするのか理解できないのに、流れに任せて言われたことをやっていたと話します。それらを何のためにやるのか、自分がどう動けばよいのかを理解できたのは、中学生になってからです。先生に褒められて、これが正解だったのだとピンときてから、ものづくりが好きになりました。

 物腰も口調も柔らかい彼女からは想像しがたいのですが、実は体育会系で、スピードスケートとバレーボールの経験があります。それに加え、ものごとにはわき目もふらずに真っ直ぐ取り組むタイプで、今まで経験してきた仕事は、後先を考えずに飛び込んでいたそう。その経験から何が悪かったのか気づく。そして、反省し悪いところを見直してまたがんばる……ということを繰り返してきたと語ります。

 「自分が不器用でよかった。要領がよすぎたら、今の私はなかったかもしれない」と小森さん。この言葉を聞いて、胸が熱くなりました。ものづくりに取り組む姿勢や、直接お客様に対応をするときの彼女の丁寧さは一体どこからくるのか。それは、「遠回りだったかもしれないけれど、今までの経験はどれも必要だった」と愛おしそうに自身を肯定する誇りの高さと、自信からくるのだろうと思ったのです。

 それでも、未熟すぎてまだまだ反省ばかりだと言います。柔らかい印象とは真逆の、志高い侍のような精神とのギャップに、また胸をわしづかみされました。
 ぜひ彼女のジュエリー作品を、気持ちのよいお店の空間で体感してほしいです。言葉では伝えきれないことを、きっと皆さんにも感じ取ってもらえるはずです。ジャンルの異なる作家との展示を行うなど、今後の取り組みも楽しみです。

写真:作家提供 
文:菅原由香 
※「ろき通信」は小野寺燃料が情報誌で10年以上継続しているアートレポートです。
北海道出身や札幌拠点で活動する現代アートの作家たちをご紹介しています。

小森 愛(こもり あい)/ジュエリー作家

音更町出身。
ジュエリーブランドDONO(ドーノ)のデザイナー兼クラフトマン。結婚指輪、婚約指輪をメインに、気軽に使えるネックレスやピアスなどを制作。シンプルなデザインのなかに、自然界の美しいマテリアルを尊敬の意をこめて注ぎ込む。
札幌市大通りにショップとアトリエを構え、東京代官山にて毎月受注会を開催。DONOは、donate(贈与する・寄与する)という言葉の語源となったラテン語。“求める”よりも“与える”ことから生まれる幸せを大切に仕事をしている。
公式サイト http://dn-o.jp
インスタグラム https://www.instagram.com/dono_aikomori/

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