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札幌の住まいと暮らしの情報誌「Sun Clover」vol.30
医療ジャーナリスト・松井宏夫の なぜなに病院ふむふむ医療【第19回】

世界に広がる医療ツーリズム

海外旅行のついでに、高度な医療を低価格で受けられると聞きました。どういうものでしょうか?


 他国で医療を受けることを医療ツーリズムといい、世界的に注目されている成長産業です。現在、50以上の国が自国産業の一つにこの医療ツーリズムを挙げており、とくにインド、タイ、シンガポール、マレーシア、韓国など、アジア地域は高度な治療を低価格で受けられることが多く、医療ツーリズムの中心となっています。

 日本からも、タイや韓国などを訪れ、保険適用外の美容形成や人間ドックなどを低価格で受ける人が増えています。旅行代理店によるツアーに組み込まれていたり、ツアー中のフリータイムを利用する場合もあります。

 では、日本の受け入れ体制はどうでしょうか。訪日外国人が年々増加している我が国では、国の後押しもあり、大規模な病院グループである徳洲会が外国人患者の受け入れ拠点となる国際医療支援室を設置するなど、医療ツーリズムの普及を加速させています。

 2011年には、病院・診療所の指示による医療行為を受ける目的で渡航する患者等(同伴者を含む)に対する医療滞在ビザも創設されました。

 日本政策投資銀行のデータによると、医療ツーリズムは2020年時点の試算で年間43万人もの潜在需要があり、市場規模は5500億円にものぼります。そのため、医療設備をいかに充実させて、他国より魅力的にするかが重要になっています。

 このように、国境を超えて活性化を続ける医療ツーリズムですが、いくつか課題も抱えています。

 たとえば、こうした医療ツーリズムを利用する富裕層の外国人に医療資源が集中してしまうと、自国民の医療に手がまわらず、医療格差が生まれてしまうのではないかということ。医師・看護師不足や超高齢化が深刻な問題となっている日本でも、外国人患者を受け入れることによる日本人患者への影響が懸念されています。

 さらに、患者が出入国することは、新型耐性菌の世界的な感染拡大につながる、との指摘もされています。



松井 宏夫 (まつい・ひろお) 1974年、中央大学卒業。日本ドキュメント・フィルム助監督、週刊サンケイ記者を経てフリージャーナリストに。1991年『名医名鑑』を日本工業新聞社から出版。名医本のパイオニアであるとともに、最先端医療など医療全般をわかりやすく解説。テレビの健康番組『みんなの家庭の医学』の監修、ラジオ、新聞、週刊誌、講演などで幅広く活躍している。日本医学ジャーナリスト協会副会長、東邦大学医学部客員教授。2014年10月よりTBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』内の「日本全国8時です」(毎月曜8:00~)に出演、病気や健康について親しみやすく解説している。

病院・医療については、松井宏夫監修の書籍『最新 病院のすべて 気になる医療業界をまるごと図解』(学研)でもっと詳しく!

毎週火曜よる8時~

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