小野寺燃料

札幌の住まいと暮らしの情報誌「Sun Clover」vol.26
~暮らしにまつわるエトセトラ 21~

堂に入っていますか?

 進学や就職で新生活がスタートして、早や数カ月。フレッシュだった新人もそろそろ「堂に入(い)って」きた頃合いではないでしょうか。

 この「堂に入る」という言葉、すっかり慣れてよく身についているとか、学問や技芸を習熟しているという意味ですが、なぜこのような言い回しをするのでしょうか。そもそも「堂」って、いったいどこのことなのでしょうか。

 「堂に入る」とは、孔子の言葉を弟子がまとめた『論語』に書かれている「堂に升(のぼ)りて室に入らず」という言葉からきています。

 あるとき、孔子が子路という弟子の琴の腕前を「あまりうまくないなぁ」と言うと、周りの弟子が子路を軽んじ始めました。そこで孔子は、「子路の琴は宮殿にも上がれる腕前。ただ主君の前で披露するほどではないということだ」と、子路は尊敬に値する人物であるとフォローしたのです。そこで言った言葉が「堂に升りて室に入らず」というものでした。

 「堂」とは中国の建物の表の客間、「室」とは奥の間を指します。つまりこの言葉は、「客間(堂)にのぼったくらいでは奥(室)のことはわからない」という意味。学問や技芸をある程度の水準まで習得しているけれど、奥義を極めるまでには至っていないことを表しています。

 そのため、「堂に升(のぼ)りて室に入る」は「客間(堂)にのぼり、さらに奥(室)にも入っている」、つまり奥義を極めているということになり、その略が「堂に入る」という言葉になったのです。

 それでいくと、意味としては、「室(奥)に入る」が奥義を極めるという意味なのに、なぜ「堂に入る」と略されたのか、何とも不思議ですね。

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