小野寺燃料

札幌の住まいと暮らしの情報誌「Sun Clover」vol.27
健康と平和~巷の健康法を調べてみる~【第16回】

食っちゃん昭和歌謡編

 朝食をしっかり食べて札幌駅に向かい、構内の「ありんこ」でお持ち帰りのおにぎりを2個買った。鮭とたらこである。この店のおにぎりは大きく、レギュラーサイズでも150g前後とコンビニおにぎりの1・3倍以上。大きなおにぎりを両手で頭の上にのせて帰る客の姿が、アリが餌を運ぶように見えるから店名が「ありんこ」となった。うそだよ。

 これから倶知安の取材だ。本州出身だが鉄ちゃんだったから、倶知安をくっちゃんと発音することは中学の時から知っている。同じ頃、長万部の読み方は由利徹に教わった。いずれにせよ、最果て感がある地名だ。そこに行くにはあらかじめ昼飯を用意していなければならないだろうと強く思い、おにぎりを2個買ったのである。

 列車では運良く座ることができた。カバンを網棚に置き、膝の上にまだ温かいおにぎりが入った袋を置く。せっかくできた時間だからと読書を始めるが、どうも集中できない。理由はわかっている。両腿の上のおにぎりの袋から海苔のいい匂いがするのである。食べたい。だが、通勤時間帯の列車である。それに、さっき朝飯を食べたばかりだ。でも食べたい。小樽に着いたら1個だけ食べよう。それまでは我慢だ。食べたい気持ちがままならぬ。北国の町は冷たく遠い……周囲の乗客たちは、座って本を読んでいる中年男が、まさか頭の中で東京ロマンチカを熱唱しているとは思っていないだろう。

 列車は遅れていた。銭函を過ぎ、朝里へ。忍べば懐かし古代の文字よ、であるがもうそれどころではない。食べたい。袋はまだ温かく、依然として腿の上からは海苔のいい匂いがしている。食べたい。我慢できない。うううっ。

 江戸時代、未決囚に行われた拷問の一つに石責めというものがある。正座させられ腿の上に重たい石を載せられる。その痛みに耐えられず、大抵の者は自白する。

 海苔のいい匂いがする。腿の上は温かい。白く柔らかいご飯、程よい塩味、鮭、たらこ……うううっ、天野屋利兵衛は男でござるぅ。周囲の乗客たちは、座って本を読んでいる中年男が、まさか頭の中で大忠臣蔵を熱演しているとは思っていないだろう。

 乗り換えの小樽に着いた。忍耐の浪曲歌謡は終わりである。金もいらなきゃ女もいらぬ。念願のおにぎり1個を乗り換え列車に乗るや否や食べ、5分後、すぐにまたもう1個食べた。食後、満腹感は絶頂だったが、激しい敗北感に襲われた。

 なぜ俺は辛抱ができないのか。海苔の匂いが悪いのか、それとも俺が悪いのか。

中川順一
諏訪書房代表、ライター。小野寺燃料非常勤取締役。
1960 年生まれのメタボ中年

食べる回数とダイエット

1日の食事の回数を増やすとやせる、という説があります。
「小分けダイエット」と呼ばれるもので、ふつう1日3回の食事を4~5回に分けて食べるというもの。1日の食事の回数が少ないと、脳は次の食糧補給を心配して栄養を蓄えるよう指令を出します。
その結果、脂肪がつきやすくなります。
逆に頻繁に補給されていると認識すれば、脂肪はつきにくくなります。太りたいお相撲さんの食事は、原則として1日2回。
太りたくなければその逆をしなさいということです。
ただし、これはあくまでも、1日3回の量を4~5回に分けて食べたらということ。
ふつうは食べる回数が増えれば摂取量は増えるものです。
間食のお菓子類がいけないのも、お菓子のカロリーが高いからだけでなく、そもそも3回のご飯にプラスして食べてしまうからです。
だからといって食べる量と回数を両方とも減らせば脳が不安になって脂肪を蓄える……まったくダイエットは難しい。
大切なのは、やはり3食規則正しく、適量を摂ること。適量とは、腹八分目のことです。
※このコラムは特定の健康法やダイエットを推奨あるいは否定するものではありません。