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ぴゅあ ロキ通信

【2012年早春号】 ものづくりの周辺 松原成樹の制作現場

「忘れられない展示会」を企画したい
 今回は若手作家ではなく、若手作家を応援している松原さんのお話を聞かせていただきました。筆者とはジャムづくりの仲間でもあります。ご自身の制作活動とは別に、10年程前から展覧会の企画もされています。いろいろなジャンルの作家に声をかけ、テーマのある展覧会を企画し、作家を紹介しています。どういった経緯で展覧会をすることになったのかを聞かせていただきました。

  松原さんは陶芸家ですが、ジャンルの違う作家や、若手作家とも交流があるとても気さくな方です。ご一緒させていただくと、いつも何の隔たりもなく、人やものと対等に向き合ってお話しされます。それを良いことに、調子に乗ってあれこれと質問攻めにしてしまうのですが、快く答えてくださいます。新鮮な感覚でものごとを捉える姿勢は昔から変わらないようで、特に作品と向き合うときに意識されているそうです。  松原さんは、学生時代に東京で美術の勉強をしていました。陶芸をやっていた友人がきっかけとなり、その世界を知っていったそうです。初めて陶芸を体感したとき、粘土の瑞々しさと、乾燥してから焼きに至るまでの収縮や質感の違いに衝撃を受けたといいます。その後、北海道に戻り、彫金教室を経て、岩見沢のこぶ志焼きの手伝いを始めます。デパートにも商品を卸していた関係で、あるときは従業員、あるときは弟子と、窯元での勉強とは違う経験ができたことが良かったと語ります。

 3年間勤めた後に独立し、北広島に拠点を持つことになります。それからは、精力的に自身の個展や企画展への参加、テーマ展の企画も始めました。忘れられない残像として、40年も前に見た東京・荻窪の小さなテーマ展「アリス展」が、松原さんの頭の隅にいつもあるそうです。  その展覧会を企画した種村季弘氏への憧れと、「自分では再現できない、忘れられない展覧会をやりたい」、「自分ではとてもできないことや素材と感覚を見たい」という思いが重なり、10年程前から展覧会を企画するようになります。  松原さんは、作家の展示会に行くと、心に響いてくる感覚や、作家の神経を感じることを本当に嬉しく思うと話します。あの人の影響があるとか、どういう感情があるとかを感じ、テーマ展の企画を楽しんでいます。  作家と接するときは、まず言葉で「何を作りたいか」を母国語で会話をします。もちろん、人によっては体が動いて形が先にできるタイプもいますが、松原さんは言葉から始まる形にとても惹かれるため、“テーマ”を先行した展示会をやるという側面もあるようです。今後のご自身の展覧会はもちろん、テーマ展もとても楽しみです。 (写真・文/菅原由香)

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【2012年初夏号】 ものづくりの周辺 小野翔平の制作現場

 別の感覚を求めて、カナダへ
 今回は、“とびきり若手”の小野翔平さんです。彼は道都大学の中島ゼミでシルクスクリーンを学び、先日卒業したばかり。取材時にはまだ在学中でした。個展に関わらせていただいたことをきっかけに、毎度のごとくいろいろとお話をうかがいました。まだスタートを切ったばかりで、これからがとても楽しみな小野さん。時折見せる屈託のない笑顔も素敵でした。

 

  小さいころは、漫画のキャラクターを描いたり、ものをつくったりと、いつも手を動かして遊んでいたという小野さん。
 小学校から高校まではほとんどの時間を野球に費やしていました。しかし、デザインの仕事に就きたいと思い、道都大学へ進学。友人に誘われて中島ゼミに出入りするようになり、版画・印刷技法のひとつ、シルクスクリーンを本格的に学びます。  ずっと続けていた野球をやめてから、「野球が本当に好きだったのか」と不思議そうに自分を客観視していたのが印象的でした。彼が落ち着いて見えるのは、その客観性によるのかな、と思います。中島ゼミで一緒だった仲間の影響もあるのかもしれません。
 外の世界との接点を持ちながら制作できるのはとてもすばらしいことです。つくる世界だけに潜り込むのはとても危険。良い環境で勉強していたのだなと思い、うらやましくなりました。
 その反面、彼は中島ゼミでシルクスクリーンだけを学ぶことに、違和感もありました。なぜなら、みんなで同じ方向を見ていると、作品からも同じ場所で学んだ匂いがどうしてもぬぐえないのです。そこで、一度距離を置くために、今年の4月下旬からカナダに渡ることにしました。
 彼の作品には、日常の言葉から発生したものだけでなく、日常とは直接繋がっていない客観視も潜んでいます。言葉を変換して平面へ移行するとき、いくつかのフィルターを通し、また複製の工程の中で、シルクスクリーンという技法を使っておもしろいものへと変化させているように感じます。
 一年後、彼がカナダから帰国したとき、シルクスクリーンとの関係性がどう変化しているのか、とても楽しみです。そのときはまた、この場で彼を紹介できたらと思っています。 作品写真:クスミエリカ 制作現場写真・文:菅原由香

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