小野寺燃料

ぴゅあ ロキ通信

【2010年歳末号】 ものづくりの周辺 川上大雅の制作現場

  川上さんにお会いしたのは、2009 年でした。弁護士をされていると聞いて いたので、堅いイメージを持っていたの ですが、物腰も柔らかく、私のイメージ とはまったく違った雰囲気でした。

 そのときに作家であることも知り、個 展の案内もいただいたのです。もちろ ん個展も観に行きました。どんなことを 考えているのか、とても気になったから です。

 また、どんな作風なのかも知らなかっ たので、展示を見たときに少しでも何か つかめるだろうと思っていたのですが、 謎がいっそう深まりました。

 それは、ミラーボールを使ったインス タレーション(空間演出)でした。何個も ミラーボールを繋いで一つの縄のように なったものを、LEDライトが覆って光って いる作品。ほかにも、天井からミラーボー ルが吊るされ、足下にも並べてあり、そ れらに反射する光の作品。会場がぐるぐ ると動いているような感覚になったのを 覚えています。幻想的な世界でした。
 この後、2 0 1 0 年7月に「s a l o n cojica(サロン・コジカ)」というスペー スを友人と立ち上げました。展示にも、 イベントにも使える自由な場所です。

 弁護士、作家、サロンの運営、この3つ のバランスが彼の表現活動だと思いま す。その中で、会うたびに肩書きが増え ていく彼が、どんなことを考えているの か、どんなふうに自分を捉えているの か、とても興味がわきました。
 川上さんの祖父は画家で、幼少のころ から美術と近い環境にありましたが、展 覧会に行くのはあまり好きではな かったと語ります。でも、学生のこ ろ、宮島達男の作品に出会ったの がきっかけで美術に関心を持つよ うになります。制作するようになっ たのは、友人に声をかけられてか らで、もともとは作家をサポートす る側に興味があり、それが今のサ ロンの経営に繋がっています。
 「やりたいことをやる」、と何度か会話の中で印象的な言葉を聞きまし た。言葉だけじゃなく、現に実行している ので説得力があります。とても情熱を感 じるので、目が離せない方です。
 今後、3つの職業の比重は変化してい くはず、と彼は冷静に見据えています。 注目されるようになったのも、この兼業 のおかげだろうと謙虚に受け止めてい るようです。寝る時間を削っても、3つの バランスを成立させるために全力を注 げるのは、情熱と冷静を持ち合わせて いるからかもしれません。
 情熱の中に奉仕というのか、母性のよ うなものを感じさせるのは、「結局は自分 のため」と話しながらも、人を受け入れる 受け皿ができているからだと思います。
 今後、どのように活躍していくのか気 になりますが、「まずは、続けていくこ と」。これが彼の目標です。他にしたいこ とを聞くと、「結婚」とお茶目に笑いなが ら答えてくれました。 (文・菅原由香/写真・藤懸久美子)

ぴゅあ生活情報へ 戻る>>

【2010年早春号】 ものづくりの周辺 under100の制作現場

 写真を使った作品や装飾、インスタレーションを得意とするこんのあきひとさんと、キャンドル作品の販売を中心に作家活動を展開していたキャンドルマザーさん(以下マザーさん)。作家として個人で活動しているこの2人がユニットを結成したので、そのいきさつを聞かせてもらいました。いつもは作家さんと1対1でのお話ですが、初のユニットとのお話だったため、新鮮でした。

 

2人が一緒に活動を始めたきっかけは、こんのさんの知り合いの店で展示をしたいという話があり、そこにマザーさんが紹介されたことからでした。この時点では一緒に活動するには至らなかったのですが、マザーさんは販売するための作品を作ることに少し疑問を持ち始めており、販売目的ではなく、また灯りをともすだけではない展示がしたいと思い始めていました。
 一方、こんのさんは販売できる作品作りに力を入れたいと思い、一緒に活動することで、お互いに今まで得意としていたことを活かせると感じ、2人の活動が始まります。
 2人の初めての展示会には、たくさんの人が足を運びました。筆者と同じく個々の活動を知っていて、ユニットとしての活動に興味を持って来場した人も多いと思いますが、ツイッターでの告知が思っていた以上に効果があり、驚いたそうです。

 この展示の前に、こんのさんはある写真家の展示会で、貯金箱を設置しておひねりをいただくシステムを見つけたそうで、今回の展示には貯金箱が設置されていました。定着していないのでデメリットもあると思いますが、映画館や美術館のように、料金が発生する試みは、筆者も必要だと思います。
 また、自分たちで作り上げる展示に、自身の考えを盛り込んで伝えていく姿勢はとても重要に思います。2人の真剣さも伝わってくる、素直なあたたかい展示でした。
 個々の美学を崩して、1人ではできないことをユニットとして活動する。それにより、個々で作っていたころとは変化があったと話していました。こんのさんの、細かくメモを取り、現場ですぐ図面を書き上げ、次に会うときまでにパソコンで図面を見やすく作って持ってくるという姿勢にマザーさんは驚いたそうです。
 それに加えて、燃えにくい素材を選ぶことや、場所への配慮で展示環境を整えるこんのさんの動きの中で、のびのびと作品を作ることができるとマザーさんは嬉しそうに話しています。
 お互いの作業する場所は別々ですが、しっかりと信頼関係があるので心配はないとのこと。手に取りやすい作品を提供したいと、2人は声を揃えて言っていました。等身大の気取らない2人の今後の活躍が楽しみです。 (写真・作家提供/文・菅原由香)

ぴゅあ生活情報へ 戻る>>

▲ページトップへ